九州会派視察@佐賀県

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視察研修の2日目と3日目は佐賀県に移動して教育関連の勉強をしてまいりました。
昨日と今日お伺いした佐賀県多久市は、横尾俊彦市長を筆頭に論語教育に大変に力を入れており、渋沢栄一翁を輩出した埼玉県の議員としても大変興味のあった視察テーマです。
多久市には、国指定の重要文化財である多久聖廟(たくせいびょう)と、東原庠舎(とうげんしょうしゃ)という儒学の学問所が300年以上も前からあり孔子の里とも呼ばれてきたそうですが、そういった地域の伝統を生かした「多久学」という郷土理解などを含めた論語の教育を長年展開してきました。

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その中核となるのが、厳選された100遍の論語からなる「論語カルタ」であり、学校教育に論語タイムという時間を設定して検定制度を用いるなどして子供たちの生活の中に論語を浸透させているそうです。
高学年くらいになると、だれでも論語を暗誦ができるようになっており、中には100の上の句と下の句全てが頭に入っている子もいるそうです。おかげで子供たちには「敬」の心が育まれているとのことでした。
例えば、きょうだい喧嘩をしていた2人に向って、その兄が論語を使って諌めたそうですが、父親がその兄に向って「そんなたいそうな事を言うが意味がわかっているのか?」と尋ねると、スラスラと意味を説明して、親も論語を勉強し始めたなどといった話は枚挙に暇がないそうです。
まさに温故知新であり、豊富な副教材と熱心な論語教育を通じて、子供たちの心に、目に見えない大切なことが育まれていると感じました。
また次に伺ったのは多久市の小中一貫教育に関するものです。
全国に小中一貫教育を推進する自治体は数多くありますが、多久市の凄いところは、市内に7校あった小学校を3校の中学校に同時に接続して校舎一体型2校、敷地内一体型1校の3校の小中一貫校を一斉にスタートしたところであります。
私もこれまで10ヶ所以上の小中一貫教育を視察してきましたが、こんな一気呵成に進めた、なんて話は聞いたことがありません。
しかも、多久市は過疎自治体であり、一般会計予算が100億ほど。
財源が豊富とは言えない自治体で校舎建設費を含めて42億円の教育投資を決断したとのことでした。
さすがは松下政経塾の一期生で松下幸之助さんから直接指導を受けた横尾市長。
その一貫した教育に対する姿勢、市内で吹き上がった反発を全て自分の言葉で丁寧に説明してまわった執念、そして何よりも熱意と決断力が、これらの素晴らしい教育を生んでいるという理由だと気づくのに、そう時間はかかりませんでした。
最後は市長自らお見送りまでしていただき、改めて、自治体はリーダーの信念によって変革が大きく進むと感じました。