復興元年。日本改新を埼玉から!

平成24年の幕開けに際し、心よりお慶び申し上げます。昨年は東日本大震災により被災した地域の復旧復興、原発事故による被災拡大や風評被害の打撃、さらに東北のサプライチェーン寸断、計画停電や電力不足、歴史的な円高による産業空洞化、止まらないデフレ、雇用不安等々、我が国は多くの困難に直面した一年でした。
厳しい経済情勢ですが、今年はなにが何でも日本を再生させる年です。中でも私たちの埼玉県政は、来年度からの「新5カ年計画」が3月議会で審議、議決した後にスタートする予定です。多選自粛条例により、最後の任期を務める上田県政の総決算として、新たな計画で様々なプロジェクトが始まります。上田知事の3大公約であるエコタウンプロジェクト、ウーマノミクス、健康長寿プロジェクトの推進をはじめ、八ツ場ダム、埼玉新都心8-1A街区の医療拠点整備といった個別の大型事業も、しっかり議論するべき課題です。限られた予算の中で、二重行政などの無駄を省きつつ、教育、環境、医療、福祉、危機管理防災、都市整備、警察などサービスの質を維持向上させて参ります。また埼玉は地勢的にも、東北の玄関口として大きな役割を担っております。復興需要を県内の経済や雇用に繋げて、県民の経済を立て直すことも大切です。
私といたしましても、埼玉県の将来ビジョンを示した公約集「埼玉県政改革八策」各分野による県政改革の推進、そして戸田市と埼玉県の強力なパイプ役として、活力ある埼玉県を築く若手政治家としての役割を果たして参ります。被災地の復興と埼玉の経済回復なくして日本の再生なし。という気持ちで頑張って参りたいと思います。
私が所属する刷新の会としては、これまで通りに政党や政局とは一線をおきつつ、県民党の立場で声なき声を拾いあげ、政策本位で、埼玉県政の改革と刷新に力を注いで参ります。また2月から3月にかけて招集される予算特別委員会の中で、会派を代表して私が一問一答の議論させて頂く機会をいただきました。1期生らしく、失敗を恐れずに完全燃焼で挑みます。そして議員報酬20%カットの継続や、定数削減等の議会改革をはじめ、行政のスリム化、県内産業振興など、強い埼玉県の財政を築くための提言も継続して参ります。
ところで、国会に目を向けますと、何も前に進まない政治の停滞を見るにつけ、国家の将来を憂い、憤りを隠せない日々が続いております。綱領すらない民主党の唯一の中心軸だったマニフェストは破綻し、ブレる歴代総理の判断で、原発事故対応、普天間問題、デフレ対策、TPPなど、押し寄せる国家課題を治める事ができずに混乱を招くばかりか、内部分裂と迷走を続けて政権にしがみついています。また野党も野党で、一票の格差是正や定数削減、公務員改革、財政再建、デフレ脱却、税と社会保障の一体改革など、建設的、本質的な協議や議論なしに、いたずらに政局に走っています。そうしている間にも、国民の所得格差は開き、雇用も低迷、努力は報われず、年金や社会保障は崩壊寸前という状況です。
このような国民総不信状態において、ビジョンなき増税を叫び、今そこにある課題に向き合わず、議員自らは痛みを避ける。それで国民は納得するのでしょうか。私は疑問です。なぜなら政治は「信なくば立たず」だと考えているからです。嘘をつかない。約束は守る。過ちは素直に謝る。相手の身になって考える。小学生でもわかるような事です。与党も野党も、今は国民の信頼を取り戻すために行動を起こす事が必要です。
さいごに、私が大好きな故事で、日本書紀にも書かれる「民のかまど」を紹介します。
ある時、仁徳天皇が高台にのぼって眺めると、家々から煙が立っておらず、天皇は、民がかまどでの煮炊きにも事欠いていると察しました。天皇はそれから三年間、年貢を免除され、その間衣類も新調せず、住まいが荒れて雨漏りやすきま風が吹き込んでも修理すらしませんでした。そして3年が経過して、再び高台から眺めると、炊事の煙があちこちの家から立っていました。それを見て天皇は「私は豊かになった」とおっしゃいました。皇后は「衣服には穴があき、屋根が破れているのに、なぜ豊かになったといえるのですか」と聞くと「国家とは民が本であり、その民が富んでいるのだから、我も富んだということだ」と申されました。やがて人々が「宮殿は朽ち壊れています。それに比べて国民は豊かになり、もう年貢を納めさせてください。宮殿も修理してください」と願いましたが、天皇はさらに3年延長されました。その後、人々は自発的に老人を助け、材料運びに精を出し、競争して宮殿づくりに励み勤しみ、瞬く間に宮殿は出来上がりました。それ以降、仁徳天皇は聖帝(ひじりのみかど)と呼ばれたそうです。
国民を思うリーダーの行動が信頼につながり、国家が豊かになったこの逸話。高い徳に基づく仁の政治と、それに応える国民の勤労。まさに我が国が誇るリーダー像ではないでしょうか。こういった強く、公共心にあふれたリーダーに国民は希望を託していくのだと思います。
今年は解散総選挙があると言われております。停滞を止めるためにも、信頼を再構築するためにも、そんな覚悟をもったリーダーの出現を期待しております。
もちろん私も、若輩者ではありますが、理想の地方政治の姿を追い続けて参る所存です。これからも子供にツケをまわさない政治、そして初志貫徹の一念で、戸田市民の代表として、改革を進めて参りますので、ご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

平成二十四年 一月
埼玉県議会議員 菅原文仁