4.(1)動物の殺処分ゼロを

Q 菅原文仁議員(刷新の会)

動物は、私たちの生活を様々な形で豊かにし、時には家族のような存在として支えてもくれる頼もしい相棒です。県は、動物愛護管理推進計画の目標値を大きく上回る殺処分減の成果を挙げられており、心強く感じております。
しかし、平成25年度の犬の殺処分数は636頭、猫の殺処分数は1,794頭、合計2,430頭の命が現実に失われており、 最終目標の殺処分ゼロへの道のりはまだほど遠いのではないでしょうか。
そういった中、昨年9月に改正動物愛護管理法が施行され、終生飼養が飼い主の責務となり、県は、終生飼養の原則に反する持ち込みは拒否できることになりました。また、犬及び猫を販売する第一種動物取扱業者には、動物の終生飼養が確保されるよう規制が強化され、犬猫等健康安全計画の策定、個体ごとの帳簿の作成・管理、毎年一回の所有状況調査などが義務付けられることとなりました。
そこで、保健医療部長に質問です。
一点目として、動物の引取りについては、保健所では犬を、動物指導センターでは猫を引き取っておりますが、拒否についてどう活用され、引取り数は減少したのでしょうか。また、動物を持ち込んだ無責任な飼い主に、命の大切さや終生飼養義務の指導を厳しく行うべきと考えますが、御所見をお伺いします。
二点目として、動物取扱業者については、平成25年度末で県に2,328件登録されており、その指導は県内13の保健所の生活衛生薬事担当で行われております。法改正で業務量は大幅に増えましたが、現在の体制で十分な指導能力が発揮できるのでしょうか。また、個人事業主が多いこの業界の成熟を期すためにも、飼養環境や動物の管理法の改善のため、指導と支援を行うことも重要と考えますが、御所見をお伺いします。
三点目として、殺処分を減らすため、県独自の取組として地域猫活動の支援を行っておりますが、その成果と課題をどう考えているのでしょうか。例えば、県全体で市町村と連携して避妊手術費用を助成する制度を作るなど検討できないでしょうか、御所見をお伺いします。

A 石川 稔 保健医療部長

まず、「引き取り拒否の活用と飼い主への指導」についてでございます。 これまでも、飼い主からの引取依頼に際し、保健所や動物指導センターは相手の事情を十分に聴き取り、真にやむを得ない理由があると認められる場合を除き、考え直すよう粘り強く説得してまいりました。昨年施行された改正動物愛護法では、引取拒否の規定が明記されたため、飼い主説得の際の強力な後ろ盾として積極的に活用をしております。
県で引き取った犬猫の数ですが、平成25年度は772頭となっており、前年の平成24年度の1,116頭に対し、約3割減少しております。
動物を持ち込む飼い主に対しては、動物がその生涯を終えるまで責任を持って飼い続けるよう厳しく指導し、引き続き引取数を減少させるよう努めてまいります。
次に「動物取扱業者の指導」についてでございます。 現在、ペットショップなど2,328の動物取扱業者に対して、保健所では獣医師の資格を有する職員が監視・指導に当たっております。
担当職員に対しては、限られた人材で最大限の効果を発揮できるよう、定期的な研修会や情報交換会などを行い、資質向上に努めております。
また、取扱業者に対しては、毎年開催する研修会を通じて、関係法令や感染症などに関する最新の知識を提供するとともに、動物の飼育環境や管理方法などについて指導・助言を行っております。
最後に「地域猫活動支援事業の成果と今後の課題」についてでございます。
県では、野良猫を地域ボランティアの方々に適切に管理していただく、いわゆる「地域猫活動」を平成24年度から推進しております。現在、所沢市、上尾市、入間市、吉見町の4つの地域に避妊手術やトイレの設置など「地域猫活動」に要する経費を補助しており、本年度は、さらに2つの地域を追加する予定でございます。
これまでに合計53頭に避妊手術を行い、それぞれの地域で野良猫の増加が抑えられているとの報告を受けています。避妊手術に加え、エサ場やトイレの適正な管理を行った結果、糞尿被害が減り、地域環境が改善されたとの報告も受けております。
課題としては、地元の合意形成に時間を要することや「地域猫活動」を行っている所に新たに猫が捨てられてしまう危険があることなどでございます。県全体にわたる野良猫への避妊手術費用の助成につきましては、現在の地域猫活動の成果や地域環境の改善の効果などを見極めながら、検討してまいりたいと考えております。