1.県立学校の部活動について

Q 菅原文仁議員(無所属県民会議)

こんにちは。無所属県民会議の菅原文仁です。
本日は、平日にも関わらず、地元の戸田市からご支援いただいている皆様が傍聴にお越しくださっております。いつも本当にありがとうございます。県民のため、地元のために一生懸命頑張ってまいります。
それでは議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。
まず、質問番号の1番「県立学校の部活動について」です。
先日、ある県立学校の部活動の保護者一同から一通の手紙をいただきました。息子さんの通う学校で、部活動にも保健体育の授業にも使用する学校施設や用具の多くが、ほとんど更新されていないことに対する問題提起の内容でした。
私は早速その状況を見て参りました。校長先生、部活動の顧問の先生、立会いのもと、問題の体育施設の中に設置されている設備や用具を確認しました。正直言って大変驚きました。
この部活動は、インターハイにも出場するような強豪校ですが、多くの用具がガムテープでつぎはぎだらけ。破れて中がむき出しになっている物や、支柱が歪んでしまった物、部品が取れてしまって使い物にならない物などが数多くありました。昨年行われたこの部活動の用具の総合点検の結果では「交換や修理が必要」「危険な状態になる恐れがある」と判定されたものがなんと約7割もあったそうです。
こんな状態では、充実した部活動・授業は到底できませんし、いつ生徒のケガや大事故に繋がってもおかしくないと感じました。
顧問の先生も大変厳しい表情で「耐用年数を過ぎているが使わざるを得ない状況」「更新の要望はしているが高額な用具はどうしても予算の制約があって厳しい」とお話ししてくださいました。
県は、139校ある高等学校に「県立高等学校管理運営費」として、平成28年度は約45億7400万円、平均1校あたり約3300万円の運営費を予算措置しております。各学校はそこから、光熱水費などの固定費、施設の維持補修経費や教材費に配分し、部活動に関するものもこの予算が充てられているとのことです。
しかし実態は、固定費や教材費などとの優先度から、部活動の施設や用具への支出を後回しにせざるを得ないために、多くの学校は後援会の支援金を当てにしている状況です。
部活動は学校教育の一環として位置づけられており、後の人格形成に大きな影響を与えうる重要な教育の場です。生徒は部活動を通じ、精神力や体力、忍耐力、自己肯定感、責任感、コミュニケーション能力、利他の精神や礼儀・節度など、勉学だけでは得られない様々ないわゆる「生きる力」を身に着け、それはいずれ社会に、そして地域に還元されます。
埼玉の県立高校は、これまで実にたくさんの人物を輩出してきました。ノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章さんもその一人です。
梶田さんは県立川越高校で3年間弓道部に在籍して活躍されたそうですが、ある対談において弓道を「重要な場面で集中する力が身についた」と語っています。
まさに部活動で養ったチカラが、その後の偉大な研究成果につながったといえるのではないでしょうか。
世界に羽ばたく人材、そして地域を支える人材を県立高校から育てるためにも、生徒が文武両道を目指せる環境づくりを推進すべきです。
そこでまず知事と教育委員会委員長にお伺いします。
運動部にしても文化部にしても、部活動から得られる経験は、まさに埼玉県教育振興基本計画に掲げられた「生きる力」と絆を育むことに繋がり、その教育的意義は計り知れないものです。
そこで知事そして教育委員会委員長は、教育における部活動の意義について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。ご見解をお伺いします。
次に、教育長にお伺いします。
私が視察した学校施設はもちろんですが、県教育委員会は県立学校の部活動全体の施設や用具の破損状況や老朽化の実態について、どこまで把握しているのでしょうか。そしてなぜこのような状況になってしまっているのでしょうか。お答えください。
また、県教委には部活動の施設や用具に経費をどれくらい支出したのかを一覧できる統計はないそうです。予算を言い訳にして、何よりも大切な生徒の安全や安心がないがしろにされていないでしょうか。保護者の皆さんは大変心配をしています。ぜひ真摯にお答えください。
そして、これまでの予算配分の方法に問題はなかったのか、改善する必要はないのか、ご見解をお伺いします。
県立高校の生徒が、安全にそしてやりがいをもって活動できる環境を作るためにも、県全体として部活動に係る設備や備品を総点検すべきではないでしょうか。そして、適切な更新計画を立てるべきだと考えますが、ご見解をお伺いします。
最後に以上の課題を踏まえ、今後どのように部活動の活性化に取り組んでいかれるのかでしょうか、ご見解をお伺いします。

A 上田清司 知事

菅原文仁議員の御質問に順次お答えをいたします。
まず、「県立学校の部活動について」のお尋ねでございます。
現在、いろんな意味で、子供たちの「生きる力」や「社会力」というものが必要だと、こんなことが言われてるところですが、私もそのとおりだと思っています。そういう意味で、部活動が大変意義深いものだというような認識を持っております。
例えば、クラスは横の関係しか組み立てることができませんが、部活動では縦の関係を作ることができます。そしてまた、一生懸命勉強して、一生懸命部活動をやる、2つの事を同時にやることによって、ある意味では、時間の配分やら、能率的な合理的な行動などを学ぶこともできる。集中力がつく。そして、部活動を通じて、礼節であるとか、あるいはまた、いろんな意味での友情を学んだり、何よりも部活動は自分自身が好きなことをやっている。そしてまた、志を同じくする者が集まっている、そういう連帯感というものの中で一生の友達ができたりします。クラスでは、そこまではなかなかいかないのではないかというふうに、私は思っております。
そういう意味で、部活動というのは、大変意義のあることだというふうに思っておりますし、私自身の高校時代、あるいは中学時代などを振り返っても、あるいは大学時代を振り返っても、この部活動というのは、大変自分自身にいい影響を与えた、こんなふうに肯定的に捉えております。
部活動がより多くの方々に参加していただき、そしてなおかつ、その部活動が充実できるような、そういう体制づくりが可能になるようなことを、教育委員会共々考えていきたいと思っております。

A 教育委員会委員長

御質問1「県立学校の部活動について」お答えを申し上げます。
「部活動の意義について」でございます。
私を含めた教育委員は、年間を通じて多くの学校を訪問させていただいております。その中で、生徒の皆さんが一生懸命に部活動に取り組む姿を拝見するたびに、強く感銘を受けております。
こうした部活動により、埼玉県教育振興基本計画の「生きる力を育て、絆を深める埼玉教育」の基本理念が培われているという思いを深めております。
県立学校は、それぞれの学校が特色を持っており、その特色の一つとして、部活動は大きな意義を成しております。学校、家庭、地域が一体となって支える部活動によって、子供たち一人一人が成長し、その能力と可能性を開花させることが何よりも大切であると考えております。

A 教育長

御質問1「県立学校の部活動について」お答えを申し上げます。
まず、「部活動用具などの破損や老朽化の状況についてどこまで把握しているか」についてでございます。部活動全体の施設や用具については、各学校が適切に維持・管理を行うこととしており、県といたしましては、全ての学校の破損状況や老朽化の実態については、把握しておりません。
次に、「予算がないことを言い訳にして安全や安心がないがしろにされていないか」についてでございます。各学校では、部活動用具を含む物品や施設・設備の安全点検を、毎学期1回以上行っております。今後とも、この安全点検を通じて、生徒の安全、安心を確保することに努めてまいります。
次に、「予算配分の方法に問題はなかったか」についてでございます。予算につきましては、生徒や施設の規模、学習内容などに応じて各学校に配分しており、この予算の中で、部活動を含む教育活動全般の整備を各学校の裁量で計画的に行っております。各学校の予算枠では整備することが難しい高額な物品につきましては、毎年、整備状況などを調査し、優先順位の高いものから予算を措置しております。体育器具の破損など、突発的に生徒の安全、安心に関わる事態が生じた場合には、その都度学校から相談をいただき、最優先で予算措置してまいります。
次に、「県全体として部活動に係る設備や備品を総点検すべきではないか、適切な更新計画を立てるべきではないか」についてでございます。古くても安全性に問題がない物品の修繕や更新などについては、必要となる額も多額であり、全てには対応できていない状況でございます。このような中、各学校においては、保護者などの熱意により、一部の部活動物品を保護者負担によりご協力いただいております。県といたしましては、今年度、特に部活動で使用する高額な物品について、各学校の要望を調査しているところでございます。この調査結果などを踏まえ、改めて学校の状況を把握したうえで、優先度の高いものから順次予算措置できるよう努めてまいります。
次に、「県として『部活動の活性化』について今後どのように取り組んでいくのか」についてでございます。部活動は、生徒に及ぼす影響が大きく、忍耐力や人間性豊かな人材を育てる上で、大変重要な教育活動でございます。県といたしましては、スポーツ医・科学に基づく講習会の開催や優れた指導力を有する外部指導者を派遣したり、日頃の努力の成果を発表する機会を設けたりするなどして、更なる部活動の活性化を図ってまいります。