2.自動車税について (1)納税率の向上について

Q 菅原文仁議員(無所属県民会議)

次に、2番の「自動車税について」です。
「入るを量りて出るを制す」とは、古くは中国の故事、細井平洲や二宮尊徳といった歴史上の人物も従った財政運営の心構えであり、上田知事の基本的な政治姿勢でもあろうと思います。
とりわけ「入るを量る」ことが、正しく行われなければ、健全な県政運営は継続しません。
自動車税は、都道府県固有の財源ですが、埼玉県では個人県民税、法人事業税に次いで大きな構成比を誇っております。
平成26年度決算では、約862億円、県税総額の12.6%を占め、県の基幹的な収入源であり、まさに駆動力といえます。
そこでまず(1)「納税率の向上について」お伺いします。
埼玉県はこれまでも知事を先頭に納税率向上を推進しており、自動車税についても、収入未済額を4年で半減させるなど、打ちこんだ対策が着実に成果に繋がっております。
しかし全国順位をみると、自動車税の納税率についてはいまだ35位と下位に甘んじております。
納税率を向上させ、全国順位を上げることは、歳入の確保はもちろん、すべての県民の税負担の公平・公正を保つこと、ひいては納税者を守ることに繋がります。
さて、その核心である滞納処分など収税業務は、県庁職員の手に委ねられております。彼らはまさに公務員の公務員たる大きな使命を背負い、日々数字と向き合い奮闘しております。一生懸命やればやるほど、滞納者からクレームを受け、時には罵声を浴びせかけられることもあると思います。しかし、多くの見えない人たちとの公平性や、全体の公正を保つために頑張る職員がそこにいます。
そういった意味からも、職員一人一人の志気を高く保つことは重要です。
そこで知事にお伺いします。
自動車税に限らず、収税業務に関わる全ての職員を鼓舞し、励ますことを含め、埼玉県の納税率を今後もしっかり向上させるご決意をお聞かせください。
そして職員が「この目標に向かって頑張ろう」と一丸となるための旗を振っていただきたいと思います。
自動車税の納税率は現在35位ですが、今後何位にまで押し上げたいと考え、どのような具体的な目標をもって対策を進めていかれるか、ご見解をお伺いします。

A 上田清司 知事

次に、「自動車税について」のお尋ねのうち、「納税率の向上について」でございます。
まず、納税率を向上させる決意についてでございます。
かねてから、私も憲法のことでよく御紹介しておりました。権利に関する条項が16、自由に関してが9つ、義務がたった3つしかないと。そういう意味で、納税の義務というのは、大変大きなものだと思っておりますので、納税率がしっかり上がる、あるいは納税が高まるというのは重要だということで、強い関心と意欲を持ってまいりました。
県全体の納税率が就任当時である平成15年度には全国46位だったのですが、平成18年度には41位まで引き上げたところですが、平成19年度に税制改正がございまして、本県がなかなか厳しい個人県民税の割合が大幅に増えてから、大変苦戦するようになりました。それでも法人事業税など県が単独で徴収する県税の納税率は、平成19年度の97.9%から平成26年度の99.1%まで引き上げ、統計データのある昭和29年以降では最高の納税率まで上がってきております。これは県単独の部分であります。
毎年、県税事務所長で構成しております税収確保対策推進本部会議というものをやっておりまして、私も毎年必ず出席し、それぞれの取組状況についての報告を受けておりますそして、頑張った職員の労をねぎらい、納税率の更なる向上のための激励などを行っております。
また、個人住民税の徴収確保に御尽力いただいている市町村長の皆さんにも表彰状を贈呈したり、効果的な徴収対策についての意見交換会も毎年行っております。さらに、市町村の部長さんや課長さんの皆さんとともに、県の担当者たちと個人住民税税収確保対策協議会なるものを作っておりまして、一同が集まって、そして私もそれに出席しながら、とにかく県と市町村一緒になって頑張ろう、一般的に財政課がこういう予算を付けたよね、あるいは私が財政課のあの時に付けたよね、という話も重要かもしれないけれど、我々が税務担当の時にこれだけの税収を上げたので、いい仕事ができたんだよね、そちらの方がもっと重要だよねということを自覚していただくような、そういうことを意識しているつもりであります。
そういう意味で、今も市町村の皆さんと共に、県税事務所のメンバーは一生懸命取り組んでいただいている、こんな風に私自身は認識しております。

次に、自動車税の納税率を今後何位にまで押し上げたいと考え、どのような具体的な目標を持っているかということについてですが、御案内のように、本県は県南部を中心に人口移動が激しいところでございますので、基本的には困難な事情がございます。したがいまして、平成23年度の自動車税の納税率が96.4%と、全国平均とは0.6ポイントの差がありました。しかし、平成26年度には98.0%までなって、その差が0.1ポイントまで縮まっております。平均まで0.1ポイントまできました。
そこで、まずは全国平均以上の納税率を達成しようというのがまずの目標です。その上で、全国順位も20番台以上を目指そう、これが2番目の目標です。そこから先、また大きな目標を立てられるように頑張りたいと思います。

Q 菅原文仁議員(無所属県民会議)

次に、総務部長にお伺いします。
納期を過ぎた自動車税については、督促状を送付した後、徴収権が自動車税事務所から県内14か所にある県税事務所に移管され、催告が開始されます。
再三の呼びかけに応じない滞納者に対しては、給与や預貯金、自動車本体を差し押さえるなど、滞納処分が有効です。
県は平成26年度~27年度にかけて、差し押さえ件数を増加させましたが、今後さらに積極的に滞納処分を進めていくことが必要と考えますがいかがでしょうか。
次に、納税率と未済件数を県税事務所別で見ますと、平成27年度分の平成28年4月末現在の実績では、1位の秩父県税事務所は、99.2%の317件、そして最下位の14位は川口県税事務所で96.9%の5358件となっており、率と件数に開きがあることが分かります。
川口県税事務所管内には戸田市も入っており大変心苦しいのですが、今後は、納税率が低くて件数が多い県南部の所管事務所への対策を重点的に進めることが、県全体の納税率アップにつながるのではないかと思います。
以上を踏まえ、今後の取り組みについて、ご見解をお伺いします。

A 総務部長

御質問2「自動車税について」お答え申し上げます。
まず、(1)「納税率の向上について」でございます。
納税資力がありながら、再三の催告に応じない滞納者に対しては、徹底した滞納処分を行うことが必要です。そのため、平成27年度は、現金化しやすい給与などの金銭債権や課税客体である自動車の差押えを強化いたしました。給与の差押えにつきましては、平成26年度に220件だったものが、平成27年度は781件に、また、自動車の差押えにつきましては、平成26年度に836台だったものが、平成27年度は1,632台までに、それぞれ増加しております。
自動車税は他の税目に比べて滞納件数が多いことから、年度内に完結させるために滞納整理に早期に着手することが重要となってまいります。そこで、平成28年度からは督促状の発送を前倒しして、これまで以上に滞納整理の早期着手を図り、差押えなどの滞納処分を強化してまいります。
また、議員御指摘のとおり、人口の流出入の激しい県南部の事務所では、自動車税を含め県税の納税率が低い傾向にございます。そこで、さいたま、川口、越谷の大規模県税事務所につきましては、自動車税の専担組織を設置して、滞納整理の効率化を図っております。さらに、県南部の事務所を中心に、受付などの窓口業務を民間に委託して、職員が財産調査や差押えなどの本来業務に集中して取り組める体制を取っております。
一方で、県南部の大規模事務所では、他の事務所と比べ古い滞納が累積している傾向があり、そのことが納税率を押し下げている要因となっています。そこで、平成28年度からは、こうした取組に加え財産調査を担当する職員を増やし、集中整理期間を設定するなど徴収対策を更に強化してまいります。
今後とも、地域特性に応じた体制を取りながら、徹底した滞納整理に取り組んでまいります。