H257.「教育立県・埼玉」の確立に向けた取組について(教育長) (2) 理科・算数数学教育の充実と強化について

Q 菅原文仁議員(刷新の会)

 昨年、文部科学省が実施した全国学力・学習状況調査の結果が発表され、9月議会の一般質問において、本木議員さんからもご指摘がありましたように、埼玉県は全ての教科で全国平均を下回っているという厳しい結果でありました。文科省が示す数値は平均正答率に幅がありますので、その中間値を算出し直し、都道府県別の順位を出しました。その結果、埼玉県の小学校は全教科で28位、国語25位、算数31位、理科30位でした。また、中学校では全教科で41位、国語31位、数学41位、理科44位でした。小中学校とも、全国と比べまして全教科で平均正答率が下回っております。特に中学校の理数教科は、全国平均よりかなり大きく下回っており、数学は調査が始まった2007年以来ずっと全国平均を下回っている状況です。
日本全体でも、OECDの学習到達度調査において、数学的リテラシーは平成12年の1位が、21年には9位、科学的リテラシーは平成12年の2位から、平成21年には5位ということで、世界の中においても数学、理科のレベルがとても弱くなっている傾向であります。資源の乏しい我が国にとって、科学技術の頭脳は、何よりの資源です。特に科学技術の分野については、国家の大計として投資を徹底的に行う必要があると考えております。それなりの予算と人材では、それなりの結果しか生まれないのではないかと感じているところでもあります。
そこで、教育長にお伺いします。教育長の教科は理科だそうですが、なぜ理数教科の結果が芳しくないのでしょうか、また、理科離れについてどのようにお考えでしょうか、教育長のご経験を踏まえたご所見をお伺いします。その上で、今後埼玉県の理数教育の底上げをどのように図っていくのでしょうか、お伺いします。

A 前島富雄 教育長

 (2)「理科・算数数学教育の充実と強化について」のうち、理数教科の結果や、いわゆる「理科離れ」についてどのように考えているのかについて、でございます。
理科や算数・数学の学力を身に付けるためには、私の経験からすれば、自然や物事の仕組みに興味をもって、これらについて科学的、論理的に考える学習をすることが重要でございます。
しかし、今日、子供たちが自然と触れ合うなどの体験が減り、日常生活の中で疑問や好奇心を抱く機会も減少しています。
子供たちを取り巻く環境が、子供たちの理数教科への興味・関心が高まらない要因であり、その結果が理数教科の調査結果やいわゆる「理科離れ」にもつながっているのではないかと考えます。
次に、今後埼玉県の理数教育の底上げをどのように図っていくのか、についてでございます。
まず、日々の授業を通して、理科では目的意識をもった観察や実験を充実させ、算数・数学では日常生活と結び付けて学習するなど、児童生徒の意欲を高めるような授業改善を進めてまいります。
また、今年度から新たに、小学校高学年の理科を専門に指導する専科指導教員の配置を開始したところでございます。
このことにより、小学校における理科教育については、充実が図られるものと考えております。
さらに、教員の指導力向上も不可欠であることから、平成25年度には、優れた指導力を持つ教員の公開授業などを行い、教員の授業力を高めるための事業に取り組むことを計画しております。

 県といたしましては、市町村教育委員会と連携し、児童生徒に考える楽しさや問題が解けたときの喜びを感じさせることで、理数教育の底上げを図ってまいります。