Q 菅原文仁議員(刷新の会)
妊娠中にウイルスや細菌、寄生虫などに母体が感染すると、胎盤や血液を通じて母親から胎児に感染し、新生児の障害につながることがあります。これを母子感染といいます。母子感染には、妊婦が正しい知識を持って対処すれば防げるものが多くあります。妊婦健診時の血液検査では、それらの感染症を発見するために、風疹やH1V、B型・C型肝炎の検査が行われております。また、平成23年度からは新たにHTLV─1の検査も加わりました。例えば先天性風疹症候群は、胎児の白内障や緑内障などの眼症状、先天性心疾患、難聴などを引き起こすことがあり、特に最近流行しておりますので、注意が必要です。
しかし、いまだ正しい情報や知識が伝達されておらず、厚労省の対策が待たれている母子感染もあります。特に、最近研究が進みつつあるいくつかの母子感染は、新聞やテレビでも特集を組まれております。
これは、今年の初めに生まれた私の子供の母子手帳です。母子手帳は妊婦さんの教科書と言えるもので、私も妻も、この手帳に書いてあることを参考にさせていただき、子育てをしております。母子手帳は、妊婦の健康状態や新生児の健康状態を記録する大切なものです。しかし、この母子手帳にも、母子感染の怖さやその予防法についての記載は十分ではありません。また、先ほど申し上げました、特に対策が待たれている母子感染は記載されておりません。これらを含めて、母子感染の予防への知識は、妊婦にとって「知らなかった」では済まされない、とても重要なものと考えます。私も家族を持つ父親として、母子感染により悲しむ妊婦を一人でもなくしていきたい、切に願っております。
そこで、保健医療部長にお伺いします。埼玉県の母子感染対策については、これまでどのような取り組みをされてきたのでしょうか。また、対策が待たれている母子感染について、まだまだ妊婦に正しく理解されていないと感じております。そういったことを県内の市町村に周知徹底を促すことはできないでしょうか、お伺いいたします。
A 奥野 立 保健医療部長
始めに、埼玉県の母子感染対策についてでございます。
母子感染予防については市町村と協力して、母親学級で妊婦に直接啓発するとともに、母子手帳やその副読本に母子感染についての情報を掲載し、注意を促してまいりました。
近年、流行している風疹については、市町村だよりなどでも注意喚起を行っております。
また、感染拡大の恐れがある成人T細胞白血病の母子感染については、この2年間、県内の医療従事者及び市町村の職員を対象に研修会を実施しております。
次に、「厚労省の対策が待たれている母子感染について」でございます。
HIVや肝炎など一部疾患については、厚生労働省の基準に基づいて妊婦健康診査の中で、母体の抗体検査が行われています。
こうした疾患については検査結果により感染の有無が判定でき、事後の適切な対応につなげることが可能です。
一方、母体の抗体検査が行われていない疾患については母子感染の危険性についてより詳しい情報をお知らせする必要がございます。
母親学級の場などにおいて、妊婦により詳細な情報を伝えるよう努めてまいります。