Q 菅原文仁議員(刷新の会)
社会福祉サービスにおける第三者評価とは、特別養護老人ホームや保育所、障害者の生活介護施設などの事業所について、福祉サービスの利用者でも事業者でもない第三者が、事業者が提供している福祉サービスの質を専門家の目でもって公正、客観的に評価する制度です。これには、利用者のサービス選択への支援と事業者のサービスの質の向上への支援という高い理念と目的があります。施設や事業所としての受審は任意であります。しかし、社会福祉法第78条第1項では、福祉サービスの質の向上のための自己評価の実施等が努力義務として規定されており、事業者の積極的な受審が望まれます。また、今年度から社会的養護関係施設における受審が3年に1度となり、結果の公表も併せて義務付けられました。私は、今後の埼玉県の福祉サービスの質の向上を図る上で、第三者評価事業の受審を更に普及促進して、施設、事業所がサービスの強化、改善活動に取り組むことが極めて重要と考えております。
しかしながら、埼玉県の第三者評価の受審件数は、対象事業者2,390件に対し、7年間で延べ144件にとどまっております。また、平成21年度は27件、22年度は19件、23年度は17件と、受審件数も年々減少しております。一方、これらの数値が増加している都道府県も多くあります。このことからも、埼玉県においては第三者評価が十分に機能しているとは言えず、県民が情報を提供し選択する際の有効な情報源になっていないと考えます。
そこで、福祉部長にお伺いします。第三者評価の受審が進まない理由として、事業所側からは、評価調査機関の質、また評価基準の信頼性、受審インセンティブ、そして受審によるメリットがない等の指摘がありますが、県の状況をどのようにお考えでしょうか。また、評価調査機関の質を向上させることも併せて重要と考えておりますが、いかがでしょうか。そして、今後受審件数を向上させていくためにどのような対策を講じていくのでしょうか、お伺いします。
A 荒井幸弘 福祉部長
本県では、現在、社会福祉に精通した経営コンサルティング会社やNPO法人など23の団体が、福祉サービスに対する評価調査機関として認証されております。
まず、第三者評価の受審が進まない理由をどのように考えているかでございます。
事業者が第三者評価を受審するに当たっては、費用が30万円から50万円と多額になるにもかかわらず、財政的な裏付けがないことが大きなネックとなっております。
また、受審結果が良好でも、介護報酬が加算されるなどの直接的なメリットがないため、受審が進まない状況にあると認識をいたしております。
次に、評価調査機関の質の向上についてでございます。
県では、評価調査機関を認証するに当たりましては、まず調査を担当する職員に対し評価調査者養成研修を実施し、その後、評価調査機関としての水準が確保できているか効果測定を行います。
その上で、外部有識者で構成する「福祉サービス第三者評価認証等委員会」の審査を経て認証を行っております。
このため、評価調査機関としての必要な水準を確保できているものと認識をしております。
しかし、最近、福祉施設におきましては、入所者の虐待や介護職員が定着しないなど、複雑困難な運営上の課題が多くなっており、施設を評価する側にも、より高い専門性が求められている状況にございます。
今後は、3年に1回の認証更新の機会を捉え、研修を実施するなど評価調査機関のさらなる質の向上を図ってまいります。
次に、受審件数を増やすための対策についてでございます。
県では、受審が進まない最大の理由が費用負担の問題にありますことから、全国の民生部長と共同し、国に対し、受審費用の助成を要望いたしております。
また、社会福祉施設管理者を対象とした研修において、第三者評価の受審を勧めております。
今後は、社会福祉施設などの事業者が集まるさまざまな機会を捉え、丁寧に制度を説明し、受審を勧めてまいります。