5.工業用水道事業の料金制度について

Q 菅原文仁議員(刷新の会)

昭和36年度に創設された工業用水道事業は、県南の、特に製造業を営む事業者にとって、電気やガスと同様に大変重要なインフラです。産業の血液とも言われております。県の工業用水道事業は、経済の発展に合わせて施設の規模を拡大、拡張してまいりましたが、昭和56年度の285事業所、契約水量は一日36万立米、これをピークとして事業所数が減少に転じ、昨年度末は153事業所、契約水量は一日約20万立米となっております。
そして、料金制度はこちらのように責任水量制が採用されております。責任水量制とは、一日当たりの使用水量を事業者と契約で定めて、範囲内であれば、使用水量にかかわらず料金を支払う制度です。つまり使っても使わなくても契約した料金を支払う制度ということになります。
一方で、社会的な情勢が変化したり経営環境の変化、こういったことによりユーザーの実際の配水量と契約水量はかい離しております。平成25年度のユーザーの契約水量は一日当たり20万立米に対して、実際の配水量は一日当たり平均で約12万立米、最大でも約14万立米です。地元の経営者の方からも、使用量に比べて料金を多く支払っている感があるとか、節水しても料金は変わらないからコスト削減にはつながらないのではとの疑問の声もいただいております。
全国には、工業用水道事業を行う事業体が152あり、そのうち16の事業体で先進的に責任水量制ではない料金制度を導入しております。これが責任水量制ですけれども、例えば固定料金と変動料金を定める二部料金制というものであったりとか、責任水量制と二部料金制を選択をするという選択制という方法、こういった料金制度があります。
そこで、公営企業管理者に質問です。
今年は、工業用水の給水開始から50年の契機となる年です。今後の安定した事業継続を前提として、節水しても料金が変わらない制度、コスト削減につながらない制度は早急に見直すべきと考えます。そして、コスト縮減に取り組む企業努力に応える制度、実際の使用水量が料金に反映される柔軟な制度に変えていただき、厳しい県南の製造業の操業環境を守っていただきたいと考えます。御所見をお伺いします。

A 松岡 進 公営企業管理者

現在、企業局では川口市、草加市、戸田市など県南6市の153の企業に年間約4,200万立方メートルの工業用水を供給しております。
安定して工業用水を供給するためには、大規模な供給施設の整備と維持管理は不可欠です。
そのため、企業局では工業用水道事業のスタート時から投下資本を確実に回収できる責任水量制を採用してきたところです。現在の供給単価は1立方メートル当たり23円36銭で、工業用水道事業を行っている40都道府県の平均単価に比べ約2円70銭安くなっております。
企業にとっても、これまで必要な工業用水を安価で購入でき、かつての高度成長期には安心して事業を拡大できたといった面もあったと思います。
しかし、産業構造の変化や水のリサイクル技術の進展などにより、工業用水の使用量が当初の契約水量と大きくかい離してきたことから、責任水量制による料金制度は見直す時期にきていると考えております。
そこで、本年4月に受水企業に対して料金制度に関するアンケート調査を実施いたしました。 その結果を見ますと、受水企業のうち42%が現状の責任水量制の維持を、31%が二部料金制への変更を、27%が契約水量の減量を希望しておりました。
責任水量制でないと安定的な給水が受けられないのではないか」といった受水企業側の不安があることがうかがえます。しかし、安定的な給水が行われることを前提とすれば、責任水量制から二部料金制や選択制などへの変更を求める企業が多いのも確かです。
現在、今後の工業用水需要の動向や事業の採算性なども考慮しつつ、新たな料金制度について検討を始めております。
企業局といたしましては、今後、コスト縮減に取り組む受水企業の経営努力が反映される料金制度、実際の使用量が料金に反映されるような料金制度への見直しに向けて、しっかりと取り組んでまいります。