Q 菅原文仁議員(無所属県民会議)
次に、4番「タンデム自転車の公道走行について」です。
今日は、傍聴席に公益社団法人埼玉県視覚障害者福祉協会の宮城会長にお越しいただいております。本当にありがとうございます。
さて、「タンデム自転車」とは、二人で乗るために作られた安全性の高い自転車のことをいいます。最近では、リオデジャネイロパラリンピックの自転車競技「パラサイクリング女子タンデム」のメダル獲得有力候補として「鹿沼由理恵選手、田中まい選手」が一躍注目されております。
タンデム自転車はこれまで視覚障害者の方々や自転車愛好家の方々を中心に親しまれてきました。前方にパイロットと呼ばれる誘導者がいることで、安心してペダルをこぐことができるため、障害があっても健常者と同じように自転車特有の風を切る感覚や爽快感、疾走感を感じることができます。
しかし現在、埼玉県内の公道におけるタンデム自転車の走行は、公安委員会規則の道路交通法施行細則により制限されており、事実上走行することはできない状況です。
一方で、全国には公道におけるタンデム自転車の走行が可能となっている都道府県が増えてきております。最も古い長野県はじめ、兵庫県、山形県、愛媛県、広島県、宮崎県、佐賀県、新潟県、愛知県、群馬県、京都府、富山県と、今や12府県の公道でタンデム自転車の走行が可能となりました。
我が埼玉県においても、昨年の埼玉クリテリウムへの鹿沼・田中ペアの出場や、埼玉サイクリングフェスティバル2015における体験イベント開催など、その機運は高まっております。
私も先月末に熊谷で行われた埼玉スポーツフェスティバル2016に伺い、埼玉県サイクリング協会が協力するタンデム自転車の体験会に参加しました。今日お越しの宮城会長とも一緒に縦走したり、パイロットの後部座席にも乗車しました。思ったよりも安定走行ができて、一般の自転車と安全性の面でも劣らないというのが私の率直な感想です。
走行後に宮城会長とパイロットの方が「狭く限られた場所ではなく、どこでもタンデム自転車に乗れる環境を作っていただきたい。それが私たちの夢です」と、仰っておりました。私も微力ですがその夢をお手伝いしたいと心から思いました。
タンデム自転車の公道走行を可能とする規則の改正は、今年4月に施行された障害者差別解消法の趣旨に沿うものであり、多くの視覚障害者の皆さん、そして自転車愛好家の皆さんが、切に待ち望まれております。
今後、埼玉県内においても、公道においてタンデム自転車の走行が可能となるよう、検討していただきたいと思いますが、警察本部長にご見解をお伺いします。
A 警察本部長
御質問4「タンデム自転車の公道走行について」、お答えを申し上げます。
自転車の乗車定員につきましては道路交通法の規定により、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、都道府県公安委員会が定めることができるとされております。
埼玉県での二輪又は三輪の自転車の乗車定員は、幼児を同乗させる場合等を除いて原則1人とされており、議員ご質問のいわゆるタンデム自転車については、二人乗りで公道を走行する事はできない現状であります。本県におきましても、視覚障害者団体等から「タンデム自転車で二人乗りの公道走行をできるようにしてもらいたい。」との要望が寄せられている、ことは承知しております。
他方、県内では、昨年自転車乗用中に亡くなった方は42人と全国で3番目に多く、また、本年も5月末現在で18人と全国で1番多い状況になっておりまして、自転車による交通事故は深刻であります。このため、タンデム自転車の公道走行につきましては、車体の形状が安全性に及ぼす影響、走行が認められている府県の走行実態や事故の発生状況などを見極めつつ、総合的に検討、研究してまいりたいと考えております。