5.共助による地域防災力の強化について (1)自主防災組織について

Q 菅原文仁議員(無所属県民会議)

次に、5番「共助による地域防災力の強化について」です。
死者49名、重軽傷者1737名、住宅被害13万棟以上、内閣府の試算で被害総額最大4兆6千億円という、甚大な被害を及ぼした熊本地震。
もうすぐ2カ月を経ようとしていますが、未だ避難生活を余儀なくされる方が約7000名おり、余震も収束せず、復旧のめどは立っていない状況です。
犠牲となられた方々のご冥福をお祈りし、被災された皆さまに心からお見舞いを申し上げます。
さて、今回の地震においても家族や近所、または地域の助け合いの力によって、多くの命が救われました。例えば、甚大な被害を受けた西原村の大切畑(おおぎりはた)地区は、布田川(ふたがわ)断層の真上にあり、家屋のほとんどが全損壊しましたが、消防団員と住民同士が連携して下敷きとなっていた9名の村民を救出し、犠牲者を地区から一人も出さなかったとのことです。普段からの顔が見える関係が功を奏して生まれたこの「奇跡」はまさに、共助がうまく機能した結果であったといえます。
一方、埼玉県では県南部を中心に人口の出入が激しく、また集合住宅も増加し、顔が見える関係が薄くなっております。助け合いの基盤となるのは、地域社会における市民の健全な人間関係やネットワークの存在ですが、その「見えない共助の力」をどのように促進するかが、防災行政における最重要課題の一つです。
そこで以下3点、共助による地域防災力強化の取組について、危機管理防災部長にお伺いします。
まず(1)「自主防災組織について」です。
県はこれまでも、共助の根幹である自主防災組織の組織率向上に積極的に取組み、組織率は87.7%、そしてリーダー養成講座の受講者数を約5700名まで増加させました。
いざというときに動ける組織を増やし、リーダーを育成することは大変重要なことです。
一方で、自主防災組織は、自治会とほぼ重なっているため、自治会の課題がそのまま、組織の課題に直結します。役員や組織全体の高齢化や、役員の入替わりによるスキルの低下、地域による意識の格差、防災訓練のマンネリ化など、災害対応能力が高い組織ばかりとは言い難い状況です。
自主防災組織を有名無実化させず、普段から活動を継続し活性化している組織をいかに増やすのかが今後の大きな課題であり、そのために県内の自主防災組織の弱点がどこにあり、何をすれば強化できるかを分析しなければなりません。
しかし、県は自主防災組織の活動の詳細など、実態について把握していない状況です。
そこで、県内の自主防災組織についての実態調査を行い、活動の状況を把握してはいかがでしょうか。
県内各地の取り組みを調査することで、活発に活動する自主防のノウハウを、各市町村や他の自主防にフィードバックすることができるとともに、今後県が防災政策を展開する上においても、重要な基礎資料を得られることにもつながります。
以上を踏まえて今後の展開について、ご見解をお伺いします。

A 危機管理防災部長

御質問5「共助による地域防災力の強化について」の(1)「自主防災組織について」お答えを申し上げます。
平成26年度から27年度にかけて、県が草加市と三郷市で行った自助の取組を推進するモデル事業の結果を分析したところ、防災の知識や情熱を持った人材がいる地域では、活動が活発に行われていました。そこで、自主防災組織を活性化させるためには、組織のリーダーとなる人材育成が必要不可欠であると改めて認識し、これまでリーダー養成を重点的に進めてきたところです。
しかし、県内に約5,400団体ある自主防災組織に対して、県が直接人材育成事業を行うことには限界があります。このため、今年4月からは、地域の実情に精通している市町村が主体となり、適任者を組織のリーダーとして養成するよう、順次、市町村主催へと移行しているところでございます。
また、過去の調査結果から、役員の交代が頻繁であることが組織の活性化を阻害する要因の一つであることや、女性の役員が多い組織ほど活動が活発に行われていることもわかりました。そこで、リーダー養成講座には、出来るだけ長く活動を続けられる方や、生活の視点を持った女性の参加者を増やすよう、市町村に働きかけているところです。
今後も、組織の活動状況等について定期的に調査・分析し、その結果を市町村に情報提供するなど、市町村と連携して、自主防災組織の活性化に取り組んでまいります。