H23 2.三期目の行財政改革に向けた決意について

Q 菅原文仁議員(刷新の会)

 知事に問います。土光敏夫、丹羽宇一郎、そして上田清司。この3人に共通していることは何でしょうか。
かの土光敏夫さんは、同じひげそりのブラシを50年間愛用していたそうです。伊藤忠商事の元会長丹羽宇一郎さんは、16年間同じカローラに乗っていたそうです。そして、上田清司は、4年前の選挙のときにもらった安いプラスチック製のくしと鏡を歯が折れている今でも大切に使っている。こんなエピソードをわが会派の幹事長から聞きました。何という物を大切にする姿勢でしょうか。一人の政治家としてそうありたいものです。
そして、3人にはもう一つの共通点があります。土光さんは土光臨調、いわゆる第二次臨時行政調査会において国と地方の改革について初めて言及した人であります。そして、その流れが地方分権一括法、そして分権改革推進法、分権改革推進委員会とつながりました。
推進委員会では丹羽さんが委員長、知事は委員として務められました。立場は違えど、3人ともこれまで徹底的な改革者として歩みを進めてきた方々です。
今、国と地方でいわゆる「改革疲れ」がささやかれております。大震災の復興は最重要な課題です。しかし、安易にその解を増税に求めていいのでしょうか。まだまだ増税する前にやることがあるはずです。しかし、現在の政府の姿勢には失望するばかりであります。
象徴する出来事があります。先日、改革派官僚といわれた古賀茂明氏が通産省を辞めたこともその一つです。これまで2年間、彼には仕事が与えられませんでした。省益ではなく国益を優先する改革者が追放されるなんてことがまかり通るようでは、わが国の未来はありません。
知事は、国会議員時代に徹底的な追及で、当時の塩川財務大臣から「母屋でおかゆをすすっているときに離れですき焼きを食べている」という答弁を引き出し、特別会計の見直しの機運をつくりました。そして、官僚の多くが上田清司の追及を恐れました。
そして、知事としての8年間も、天下り廃止、職員数の全国最小化、県関連団体・企業の黒字化、こういったことも成功させてまいりました。
しかし知事、3期目の知事の公約には行政改革のコミットメントが少ないという指摘もございます。ぜひとも「そんなことはない」というような行財政改革への強い決意をお伺いします。

A 上田清司 知事

 これまでのことについては、ご紹介がありました。確かに行財政改革については、天下りを廃止したり、職員数を全国で最も少なくしたり、あるいは県に関連する企業・団体の赤字を黒字に変えたり、また、医療、福祉関係の費用が年々増加する中で、県がコントロールできる県債については、就任時から約2,000億円減らしたことなど、それはそれでそれなりの実績を挙げてきたものだと思っております。
三期目の公約の中で、「日本再生・埼玉イニシアティブ構想」で、具体的に行革のプランというものが見えなかったぞ、というご指摘でございます。
一つは、今年の3月に、今後取り組むべき課題を計画的に解決するための「第三次埼玉県行財政改革プログラム」を出して、この中でも進行過程を出しております。
このプログラムの中では、特に、「費用対効果」というものを徹底的に追求しようじゃないかというのが一点であります。
そして、この考え方の下に、三つの改革として、まずは顧客の満足度を高めるための民間のノウハウを活用する「県民サービスの『質』の改革」、このことを進めたいと思います。
さらに、「地域支え合いの仕組み」のように一石三鳥、四鳥というように考えられないかということを県庁全体の仕事の仕組みの中に入れていこうと考えています。
三番目に、仕事に取り組む意欲と能力にあふれた職員を育成する。ともすれば、役所の世界では、問題が起こることに対する恐れと言うのでしょうか、従って、果敢なことに挑戦しない、こういう体質があることも事実でありますが、逆に、果敢なことに挑戦する、そういう体質に変えていくような改革を進めたいと思っております。
私は、今までの行財政改革は、どちらかと言えば目的ではなくて手段だと思っております。
究極の行財政改革というのは何だと言われれば、私は自助、共助、公助のうちの自助、共助の仕組みを最大限に実現していくような仕組みを公共がつくりきれるかどうか、これが最大の行財政改革ではないかと思っております。

 何でも県がやるということになると、膨大な財政支出が必要になってくるし、膨大な人員が必要になってくる。そして、その財源はどこに求めるかということが必ず課題になってくる。この財源を先送りにすれば、必ず借金になる。今、国がその中に陥っていますので、そういったことを考えれば、どれだけわれわれでできることを自分達でして、あるいは民間にできることをどれだけ民間がやれるか、できるだけ公共部門というものを本当にやらなければいけないものに絞り込んで、むしろ、やらなければいけないものはどんどん膨らますけれども、やらなくていいものはどんどん小さくしていく、そういう自助、共助、公助という、この仕分けが本当にできるかどうかが究極の行財政改革ではないかと考えておりますので、こういう部門をより的確に見せていきたい、このように思っております。