学校では、台湾についてどのように教えているのか伺う。
発言者:菅原文仁
まずパネルをご覧ください。これは、現在中学校、高等学校で使用される教科書、東京書籍「新編社会科地図」の記載を拡大したものです。
このように、教科書に記載されている台湾の地図なんですが中国と台湾の間に、国境がありません。また、中国の行政区分下として、台湾が書かれております。さらに別のページでは、中華人民共和国の中の都市として台北が表記されています。この教科書だけではありませんが、実は中学校、高等学校すべての地図には、台湾が中華人民共和国の一部として記載されているのです。
台湾は世界一の親日国家として有名ですが、そもそも台湾に対する政府の公式見解は、2つあります。
その1つ目は「台湾の領土的な位置付けに関して独自の認定を行う立場にない」という立場。そしてもう一つは「『台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である』との中華人民共和国政府の立場を十分理解し尊重する」という立場です。特に二つ目については、日中両国が国交正常化のための共同声明を行うに際して「中国の一部」であることを認定せよと要求してきた中国政府に対して、そのような立場や主張だけは「理解し尊重する」と表明しただけに過ぎません。つまり、決して「中国の一部」を領土的な事実として「理解し承認する」としたわけはないのであります。
その証拠として、共同声明に署名を行った大平外相も後に「中国側は『不可分の領土』といい、日本はこれを『理解し、尊重する』といったが『承認』するとは書いていない」というふうに説明しています。
しかし文部科学省は「中国の主張通りの地図」を適切と判断し、私も含めて、ずっーと全国の中高生に教え続けているのです。こういった正しくない教科書の現状で、中学校、高等学校において、台湾についてどのように教えているのでしょうか。教育長にお伺いします。
答弁者:前島富雄 教育長
どのように、教えているのかについてお答え申し上げます。
各学校では、学習指導要領に基づいて、指導を進めているところでございます。
中学校では、地理は1・2年生で学習し、平成24年度4月から全面実施される新しい学習指導要領では、世界地理を1年生で学習する事になります。学習の流れは、地図帳を活用しながら経度・緯度・主な国々の名称と位置などを調べ、世界の地域の構成について大きくつかむ。そして、次に例えばアジア・ヨーロッパなどの広い範囲を単位とした、地域ごとの特色を学習します。アジアであれば、例えば人口急増と多様な民族、文化を主題にして人口の急増地域の分布、産業の発展と人々の生活の関わりなどを通して、アジアの特色を学習する事になります。これは、個別の国や地域を細かく学習することではなく、アジアなど広い範囲の地域的特色を学習する、学習指導要領の狙いによるものでございます。地理の教科書によっては、台湾をコンピュータなどのハイテク産業や工業の盛んな地域として取り上げ、学習することになっております。
高等学校では、地理は選択科目でございます。また、現在の高校の学習指導要領では、近隣諸国についての学習をする際に、東アジア・東南アジアの国々やロシアの中から選んで扱うことになっております。高校地理の教科書によっては、台湾の経済発展、台湾と中華人民共和国との関係、台湾と日本の経済・文化的な関係などを取り上げ学習することになっております。以上です。