H253.県職員人事の適正化について (2) 給与水準の妥当性について(知事)

Q 菅原文仁議員(刷新の会)

 政府の来年度予算では、国家公務員給与を平均7.8パーセント削減したことに併せ、地方公務員の給与を削減させることを前提に、地方交付税を3,900億円減額するそうであります。総務省は、2月に「平成24年地方公務員給与実態調査結果の概要」を発表いたしました。埼玉県は、国家公務員を100とした場合の地方公務員の給与水準を表わすとされるラスパイレス指数が全国4位の110.4でした。
知事は、以前より、地方は国に比べて給与を削減してきた、地方が先行して行政改革を進めてきた自負を持っているという発言をされてきております。確かに国と地方を比較すると、地方は2兆円を超える独自の給与カットに比べて、国はゼロ。また、10年間で地方は国の6倍の職員削減をしてきたことも事実であります。また、ラスパイレス指数についても、算出方法と発表の仕方に何か恣意的なものも感じてしまいます。報道機関も、もっと報道の在り方について考えてほしいと思っております。
しかし、交付税削減の方針が固まってしまった以上、今後は、県としても給与削減に踏み切るのかどうか、国の動向を見極めながら判断を迫られているのが現状です。あとは、知事の判断に委ねられているのであります。今回のやり方は地方の自主性を損なうものであり、地方からすると断じて許されないことであります。しかし、民間の給与水準と比較するとどうなのか、県民感情との整合性はどうなのか、改めて深く考えなければならない時期に来ていると私は考えます。
そこで、知事にお伺いします。県職員の給与水準の妥当性についてどのようにお考えでしょうか。また、県職員は、先ほども言いましたけれども、最小最強の県庁、その集団として尽力をしておりますが、モチベーションが下がらない範囲での給与水準というものを検討せざるを得ないとも思いますが、いかがでしょうか。

A 上田清司 知事

 県職員の平均年収はピーク時の平成14年度と比較すると約9%、約70万円減少しております。
国税庁調査によると、民間企業の1人当たりの平均年収は平成22年で約412万円、平成23年で約409万円でした。
こういう事実をみるとき、県民・国民の税金で給与を与えられている私たちにとっては心が痛みます。
しかしまた、県職員も、もし県に奉職していなければ多分に金融機関だとか公益事業団体などに勤めていた可能性があります。
時と場合によっては、県庁よりも給与が高かった可能性もあります。
また、公務員はご承知のとおり労働基本権が制約されていますので、その待遇については人事委員会の勧告を基本にしている、これが現実でございます。
そういう意味で給与水準ということをみれば、現行制度上それ相応のものだと私は判断をしております。
しかし、県民・国民の痛みを感じ特別職や管理職は何らかの形で一貫して給与をカットしてまいりました。
今議会でも、管理職手当のカットの期間の延長や対象者の範囲の拡大について条例の改正をお願いしているところでございます。
次に、職員のモチベーションが下がらない範囲での給与水準の検討の必要性についてでございます。
平成25年度の地方公務員給与について、平成25年1月28日に総務大臣から国に準じて給与減額支給措置を講ずるように要請がありました。
地方公務員の給与は、地方において自主的に決定するものであって、国の政策目的を達成する手段として地方交付税を用いることは問題ではないか、このように私は考えております。
ただ、国が思い切った特例減額を実施したことは評価したいと思います。本県も国に先行して給与や定数の削減を行ってきたという事実もあります。

 こうしたさまざまなことを考えながら、国に準じた職員給与の取扱いについては、現時点では丁寧にあらゆる角度から考えて判断をしていきたいと思っております。