【デフリンピック日本代表の上森日南子さん】
戸田市在住の上森日南子(かみもりひなこ)さんが、5月にブラジルで開催される「第24回夏季デフリンピック」の陸上競技(走り幅跳び)に日本代表選手として出場します。
本日はその報告としてご来庁いただき、大会への意気込みなどを手話通訳士の方を介してお話いただきました。
現在、上森さんは東京女子体育大学4年生で、走り幅跳びを専門として競技を続けております。
これまでに、第53・54・55回全国ろう学校陸上競技大会 3連覇。日本ろう記録(5m27cm)の保持者として、2019年には第1回世界ろう者室内陸上競技選手権大会(エストニア)で7位に入賞するなど卓越した実力を発揮してこられました。
主な練習会場は戸田市スポーツセンターとのことで、とても嬉しかったのですが、驚いたことに高校卒業後は「ほぼ独学」で週に5日間、練習を重ねる中で今回の出場権を得たとのことでした。
ところで「デフリンピック」と「パラリンピック」の違いをご存じでしょうか?
一般財団法人全日本ろうあ連盟によると、身体障害者のオリンピック「パラリンピック」に対し「デフリンピック」は、聴覚に障がいのある「ろう者」のオリンピックとして、夏季大会は1924年にフランスで、冬季大会は1949年にオーストリアで初めて開催されています。(どちらも4年に一度開催)
当事者であるろう者自身が運営する、ろう者のための国際的なスポーツ大会であり、また参加者が国際手話によるコミュニケーションで友好を深められるところに大きな特徴があります。
国際パラリンピック委員会が1989年に発足した当時は、国際ろう者スポーツ委員会も加盟していましたが、デフリンピックの独創性を追求するために、1995年に組織を離れました。そのために、パラリンピックにろう者が参加できない状況が続いているようです。
なお、デフリンピックの独創性とは、コミュニケーション全てが国際手話によって行われ、競技はスタートの音や審判の声による合図を視覚的に工夫する以外、オリンピックと同じルールで運営される点にあります。
また、パラリンピックがリハビリテーション重視の考えで始まったのに対し、デフリンピックはろう者仲間での記録重視の考えで始まっています。しかし、現在は両方とも障害の存在を認めた上で競技における「卓越性」を追求する考えに転換しています。
デフリンピックは日本ではまだ開催されたことがなく、2025年に招致をすべく機運が高まっています。
一方、これまでデフリンピックでは統一した「君が代」の手話言語はなかったそうですが、この度全日本ろうあ連盟による試作がなされたそうです。
ブラジル大会では金メダルを授与された際に素晴らしい手話の「君が代」が見られるかもしれません。
最後に、上森さんには記念品をお渡しするともに「ブラジル大会には、コンディションに気を付けて、大活躍を期待しております」とお伝えしました。
困難を乗り越え、大きな夢を掴んだ戸田市出身のアスリート、上森さんを心から応援したいと思います。
皆様のご声援もよろしくお願いいたします!