【仕事始め式】
本日から令和8年の仕事が始まりました。9時からは内装を一新した市役所大会議室にて仕事始め式を行い、以下のような挨拶を行いました。
[市長挨拶]
新年、明けましておめでとうございます。新たな年を迎えこうして皆さんの元気な顔や引き締まった表情を見ると、とても心強く感じます。9連休という長いお休みで、各々がリフレッシュしたことと思います。
さて、昨年を振り返れば、世界は大きな転換期を迎えた一年でした。
米国ではトランプ大統領が再び就任し、「米国第一主義」の再来による関税交渉など、国際協調を前提としない大国同士のパワーゲームに翻弄されました。日中関係をはじめ、東アジア情勢も厳しさを増し、世界秩序はますます不安定になりつつあります。
国内においては、20年ぶりの万博開催、史上初の女性首相の誕生、日本人2人のノーベル賞受賞といった、未来に希望が持てる出来事があったものの、いわゆる「2025年問題」が現実のものとなり、様々な分野で人材不足が加速しました。そして何より、デフレ脱却の先で、物価高騰による市民生活への影響は深刻化しています。加えて、長期金利の上昇や円安進行といった新たなリスクも顕在化しています。
本市では7月に蕨戸田衛生センターにて火災が発生し、内外に様々な影響を及ぼしました。環境経済部では、リチウムイオン電池の回収袋の全戸配布など、正しい分別の啓発を進めていただきましたが、いまだ可燃ごみの処理は、近隣自治体の皆様にお願いしている状況です。3月のごみ受入れ再開とともに、粗大ごみ処理施設の復旧の道筋もつけなければなりません。また、八潮市で発生した下水道陥没事故を契機に「インフラの老朽化」という課題も、改めて私たちの前に突き付けられています。
こうした中、本年10月1日に本市は市制施行60周年を迎えます。振り返ると、昭和41年に出航した「戸田市」という船は、この60年間、まさに順風満帆の航海を続けてきました。市制施行時に5万5千人であった人口は14万3千人となり、人口が増え続ける勢いを追い風として、本市は目を見張るような成長を遂げました。このように奇跡的に発展を続けてきた自治体は、全国でも類を見ません。
その一方で、人間でいえば60歳、還暦を迎えた今、私たちが見渡す大海原には、不安定な国際情勢といううねり、物価高騰という高波、そして人口減少と超少子高齢化、人手不足という深刻な逆風が吹き始めています。
まさに「天気晴朗なれども波高し」の状況です。価値観の多様化と相対化によって、過去の成功という古い海図も通用しません。私たちは今、「大時化(おおしけ)」の時代の入り口にいるのかもしれません。
そうした中で、新たな航海に向けて、戸田市は出航します。
そこで、新たな航海に臨む私たちが、どんな荒波も乗り越え、突風をものともせず航路を切り拓いていくために、三つの意志を大切にしてほしいと考えております。
一つ目は、プロフェッショナルである意志です。
市役所職員は、戸田市の航路を描く、最高のシンクタンクの一員です。私たちは単なる一乗組員ではありません。航海士であり、機関士であり、それぞれの持ち場を預かるプロフェッショナルです。
知識や経験は、磨かなければ鈍ります。学び続ける姿勢こそが、荒天の中でもぶれない舵取りにつながります。どうか誇りを持って、プロであり続けてください。
二つ目は、対話し共創する意志です。
これからの航海では、部署という船室に閉じこもっていては前に進めません。現場に足を運び、異なる分野を行き来し、あらゆる主体と共創するための「橋渡し役」が必要です。
縦割りを越えた対話によってビジョンを共有し、互いが共感し、チーム全体が共鳴することで、新たな価値が生まれます。それこそが、複雑で見通しの利かない航路を安全に進むための知恵となります。どうか対話力を高め、共創する力を発揮してください。
三つ目は、決断して前に進む意志です。
相対的な価値観が広がり、誰もが納得する正解がない時代です。すべての正解が、最初から見えることはありません。灯台は霞み、岬の先は読めない。
だからこそ、考え抜いた上で決断し、航海しながら修正する勇気が求められます。
失敗を恐れず挑戦し、しぶとさや執念をもってやり切る。
その積み重ねが、次の60年の航路を形づくります。どうか、前に進む覚悟を持ってください。
そして、荒れ狂う嵐の中で遭難しそうになったとき、最後に船の命運を分けるのは、操船する私たち「人」です。
乗客の命を守るためには、クルー同士が確かな信頼関係で結ばれていなければなりません。一緒に働く仲間への敬意と感謝を忘れず、決して沈むことのない不沈船をつくっていきましょう。
そのためには、皆さん自身の「心身のコンディション」も欠かせません。定期的に錨を下ろして休息をとり、職場の環境を整えながら、長い航海に備えてください。
そうして切り拓いた荒波の先には、必ず新しい水平線があり、市民の幸せという新たな地平があると、私は信じています。
その目的地に向かって、皆さんが「この船の乗組員で良かった」と心から誇れる航海を、互いを信じて声を掛け合いながら、共に進めていきましょう。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和8年1月5日
戸田市長 菅原文仁



