【令和5年仕事始め式】

【令和5年仕事始め式】
本日から公務がスタートしました。
9時より戸田市役所5階の大会議室にて、斎藤議長にもご臨席いただき、仕事始め式を実施いたしました。市長挨拶は全職員にお伝えするため庁舎内放送しました。
以下、市長挨拶を共有させていただきます。(長文です)
令和5年の仕事始め式にあたり市民の皆様、そして市職員の皆さんに謹んで新年のお慶びを申し上げます。
初めに、年末年始に勤務いただいた消防、上下水道、医療、福祉などに関わる職員の皆さんには、影の立役者として安心安全で円滑な市民生活のため精一杯頑張っていただき、誠にありがとうございました。
令和5年の新春を迎え、職員の皆さんの健やかで引き締まった表情を見て大変嬉しく、また心強く感じます。
さて、昨年はお陰様で2期目の市長としての任期をお預かりして、新たな市長公約についてもご理解を得ることができました。そして今年は私が市長に就任してから5年目の節目の年となります。
昨年からの世界情勢を見ると、ロシアのウクライナ侵略の長期化に端を発して国家間の摩擦が激しくなっており、国際秩序は大きな転換期へと差し掛かっています。
我が国においても3年間続いたコロナ禍に追いうちをかけるように急激な為替変動と物価高騰が市民生活を直撃しました。経済の混迷は深まり、社会の分断が広がり、明るい未来が描き切れない状況となっております。結果として、国民の政治や行政に対する信頼は揺らぎはじめているように感じています。
そのような中にあって、本市では、物価高騰対応や生活支援など様々な施策を講じてまいりました。また、コロナ禍以降初めてとなる戸田ふるさとまつりや戸田マラソンの開催ができました。さらには内閣府よりSDGs未来都市に選定され、埼玉県より健康長寿優秀市町村表彰を受けました。
これらは一例ですが市民の皆様からのご理解とともに、国や県からの評価も増えたことは偏に皆さんの誠実な努力があって成し得たことであり、誇らしく感じております。
一方で、私たち地方自治体は住民の一番身近なところで事業を実施しています。今年も引き続き、突発的な物価高騰対応やワクチン接種といった緊急対応にもできるだけ柔軟に講じつつ、多岐に及ぶ行政サービスを着実に提供して、市民の命とくらしを守りつつ、市民の実感に結びつけていかなければなりません。
私は、今年こそ「コロナ禍を克服する年」にしていかなければならないと考えております。そして2期目の市長公約である安心の実現、希望の実現、持続可能の実現を着実に進め、戸田市が目指す「次のステージ」を鮮明にすることで、市民の皆様の信頼に応えていきたいと考えております。
そこで、今年市役所がワンチームで業務に取り組んでいくために皆さんに心がけてほしい「二つのこと」についてお話します。
まず一つ目は「対話力を高める」ことです。
価値観が多様化していくことで、社会は複雑さを増し、地域は分断し、孤立化しつつあります。
民間企業においては、イノベーションを起こす原動力はダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂性)であるとされています。行政組織のあり方も同様であり、多様性を力に変えていかなければなりません。そこで大切なことは、多様性を「認める」ことだけではなく、多様な人材が対話を通じて「活躍できる」風土であると感じています。
「みんな違ってみんないい」だけで終わらせるのではなく、合意点を見出す対話ができてこそ、質の高い意思決定や新たな変革に繋がるアイデアを生み出せます。逆に、その場の空気を優先して間違いを犯すいわゆる「集団思考」に陥ることを防いでもくれます。
他方で、自分と違う考えを排除するのではなく、相手の意見をしっかり耳を傾けて聴く「対話」も大切です。対話と会話は異なります。「会話」は相手との価値観の違いには立ち入らないコミュニケーションであり、「対話」は、価値観の違いを理解し合い考えを深めるものです。
一人一人の対話力が高まれば、チーム全体の対話の質が上がり、より良い「成果」へと繋がるのではないでしょうか。部局内外を含めて対話力の向上を心がけて頂きたいと思います。
二つ目は「時間を大切にする」ことです。
ベンジャミン・フランクリンの言葉「タイム・イズ・マネー」は、時間はお金と同じくらい大切という意味ですが、最近では、費用対効果を意味する「コスパ」に対して、時間対効果のことを表す「タイパ」が新語大賞に選ばれました。
「time is more important than money」時間はお金よりも大切になってきているのかもしれません。
考えてみれば「時間」はお金とは違って、新たに得ることができず、失うことしかありません。
人生や仕事は、日々の時間を何と交換していくのかの連続と言えるものであり、時間の使い方が上手い人は、人生の達人であり仕事上手な人でもあります。
私自身も、今日は段取り良く仕事が捗ったなと達成感で終わる日もあれば、何も生み出せなかったなと不完全燃焼で終わる日もあります。
どうすれば時間を上手く使えるか。これは仕事をする上での永遠の課題ですが、優先順位が決まっていなかったり、ゴールが明確でなかったりすると、結局時間を浪費してしまったりします。
私なりの答えは「将来」の目標や計画がしっかりしていて、「今」やるべきこととやるべきでないことが明確で「時間の管理」ができている人が、時間を自由にコントロールできているのではないかと思います。
私の「裏技」は、イノベーティブな事以外でわからないことがあったら「周りのすごい人に聞くこと」です。
普段から私は、同僚や友人を大切にすべきだと良く申し上げております。またSNSも活用する必要があると思っています。ぜひご活用いただければと思います。ただし、あまりに聞き過ぎたり、立場を利用したりすると「人の時間を奪うこと」になりますのでお気を付け下さい。
この他、所属長の皆さんとは特に共有したいことですが、個人の仕事の範囲を超えた、いわゆる「組織のタイパ」はもっと重要です。
資料の作り込みに時間をかけ過ぎたり、上司のチェック待ちに時間をかけ過ぎたり、会議に時間をかけ過ぎたり、連携ミスによって無駄な時間が生じたり、俗人化しすぎて暇な人ができたりと、組織単位でみると様々な無駄があるのかもしれません。
一方で、一見無駄と思えるような、同僚や他部署との連携の時間や研修の時間は重要だと思います。スケジュールに余裕を持つことも気持ちにゆとりが生まれてミスを防げるかもしれません。
時間を大切にすることは、仕事を楽しくすることに繋がり、プライベートを充実させることに繋がり、キャリアアップしたくなることにも繋がります。
最近では、ICTスキルの活用やDX導入も有効だと思います。ぜひ「時間を大切にすること」を心がけて頂きたいと思います。
ところで、毎年私の正月の恒例行事は箱根駅伝を見ることであり、昨日も学生の熱い戦いを見て、大変感動しました。
今年の箱根は、駒沢大学が2年ぶり8度目の総合優勝を果たしました。駒沢大学出身の方はおめでとうございます。
出雲、全日本と合わせ前人未到の3冠を達成して今年3月に退任を表明した大八木監督の名言に「情熱に勝る才能なし」という名言がありました。
この言葉はもともと安岡正篤師の「人に大切なものは知識よりも才能よりも何よりも真剣味であり、純潔な情熱である」という言葉が基になっているそうで、私自身深く感銘を受けた言葉です。
自分の才能を鼻にかけて人を批判して努力を怠る人物よりも、自分には普通の能力しかないと思いながら実直に情熱を注いで努力する人物の方が、「大事を成し遂げる」と私は信じています。
私たちの仕事は駅伝のようでもあります。与えられた区間で、先輩からもらった汗のしみ込んだタスキを次の走者につなぐため、情熱を燃やして全力で駆け抜け、区間賞を目指して頑張ることができるかどうかです。
今年も、市民の皆さんが「このまちで良かった」という実感できる市政を目指し、一致結束して頑張りましょう。
結びに、全ての戸田市民の幸せと戸田市の発展、そして全ての職員の健康を心から祈念して、仕事始め式の挨拶とします。
令和5年1月4日
戸田市長 菅原文仁