大野知事の発信をシェアさせていただきます。
【緊急事態宣言解除にあたって】
昨日18日、政府の対策本部において、埼玉県を含む首都圏の1都3県に発令されている緊急事態宣言を、21日の期限をもって解除することが決定されました。
緊急事態宣言は約2カ月半の長期にわたりましたが、これまで御協力をいただいた県民の皆様、飲食店をはじめ事業者の皆様、さらには、医療機関、福祉施設などで命を守る取り組みに御尽力いただいている皆様に対して、心から感謝を申し上げます。
緊急事態宣言は解除されますが、これで新型コロナウイルスとの戦いが終わった訳では決してありません。予断を許さない状況は依然として続いています。
埼玉県の新規陽性者数は、昨日18日は115人で、ピーク時の約20%までに減ってきましたが、直近の2週間は100人前後の推移に加え、100人台後半となる日もあり、下げ止まり傾向どころか再度増加の兆候を示しています。
このままのペースで新規陽性者数が推移すると、これから花見や歓送迎会のシーズを迎え、さらに気が緩んで外出や会食などが重なって感染が広まると、感染の再拡大、リバウンドが起こりかねません。
また、病床占有率についても高い水準にあり、医療機関の負担を減らすまでには至っていないため、医療現場は大変厳しい状況であることに変わりありません。
今後、ワクチンの接種が本格化していく中で、これ以上医療機関の負担を増やすことはできません。
さらに、埼玉県では新型コロナウイルス変異株患者が昨日18日時点で64人と、報告数としては全国で3番目に多い状況です。
国内で流行しているウイルスが変異株に置き換わる可能性があるという専門家の意見もあり、変異株による感染のリバウンドも起こりかねません。最大限の警戒が必要です。
そのため、緊急事態宣言解除後、これまでの要請等を一気に無くすのではなく、段階的な緩和が必要となります。
そこで、3月22日以降の段階的緩和措置等について説明します。
その前にまず、現在の私たちの認識からご説明します。
認識の1つ目として、県内の感染動向は、埼玉県が国に対して解除を要請するとした目安に達していないものの、県民・事業者の皆様の御協力のおかげで、入院・療養体制がある程度コントロール可能な範囲となっています。
したがって、国は緊急事態宣言の解除を昨日決定しましたが、埼玉県としては、解除を受けても引き続き感染対策にしっかり対応する必要があります。
2つ目として、不確定要素を念頭に置いておく必要があります。
ワクチンの確保や接種を行う医療機関への負荷、それから変異株については、まだ県内でも把握している症例数としては少ない状況です。
このため、「全県対象」とし、かつ「段階的な措置の緩和」を行う必要があります。仮に陽性者数が急増した場合には、厳しい措置に移行することも必要だと考えています。
そこで、こうした状況を踏まえた上で、埼玉県としては、今後4つの方針で取り組んでいきたいと考えています。
1番目が「攻める!」、2番目が「守る!」、3番目が「連携する」、4番目が「お願いする」です。
1番目の「攻める!」では、感染防止対策として、二酸化炭素濃度測定器やパーテーションなどを設置していただきます。
次に、PCR等の検査の拡充です。さらなる検査の充実とともに、街頭モニタリングによって感染の拡大の予兆などをできるだけ早期に、先行的に把握できるようにしたいと考えています。
次は、感染拡大の防止です。クラスター対策として、引き続き、高齢者福祉施設対策には重点的に取り組みます。
また、COVMATやeMATなどの支援によって、感染の連鎖を最小限に食い止めます。
最後は、変異株対策として、現在、一般PCRの約9割の検査件数を担っている民間検査機関で、変異株のPCR検査を担っていただけるようにしたいということです。また、切れ目のない疫学調査を継続していきます。
2番目の「守る!」は、着実に安定的に行っていただきたい取り組みです。
今、特に埼玉県の場合、DVが前年に比べて大幅に増えている傾向にあります。コロナ禍における動向を注視し、早期に芽を摘むなど、的確な対応を図りたいと考えています。
また、誹謗中傷、風評被害、不当表示などに対しても、すぐに心配事を相談していただける体制づくりや医療機関との連携などにしっかり取り組んでいきます。
病床や宿泊療養施設の確保・運営は、この感染症対策の最も根幹です。また同時に、県内の経済・産業に対する支援も引き続き進めていきます。
3番目が「連携する」です。埼玉県では、できないことが沢山ありますので、国への要請と協調で進めていきます。
やはりワクチンの確保は国でしっかりお願いしたいと思います。
変異株対策については、民間検査機関での変異株PCR検査を国で推進し、大規模に行ってほしいというものです。
さらに、財政支援は、しっかり国に申し述べたいとおもいます。単独でも、1都3県でも、知事会などの枠組みでも、要望していきたいと考えています。
こうした柱を立てた上で、最後の4番目、「県民・事業者の皆様にお願いする」です。
基礎的な対応から始まりますが、特にお願いしたい「行為」として、「会話の時のマスク」、「昼飲み・昼カラで長時間を避ける」、「少人数・短時間の飲食」などがあります。
それから、場として、特に避けていただきたいところをしっかり特定します。今までは、県有施設の開館そのものがだめだとしていましたが、これからは、避けていただきたい場所として、例えば、共同シャワー室、高齢者・基礎疾患を有する方と近距離で接する場などをお示しします。
事業者の皆様には、感染防止対策、営業時間の短縮、テレワーク・時差出勤の徹底、彩の国「新しい生活様式」安心宣言などに引き続き力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
こうした4つの方針に基づいて、緊急事態宣言解除後においてもしっかりと感染対策に取り組んでいきます。
皆様の命を守る取り組みに御協力いただいた結果、新規陽性者数の減少などの成果が表れていて、新型コロナウイルスを克服する力があることを証明していただきました。改めて感謝を申し上げます。
しかし同時に、今一歩の対策が求められる状況です。
埼玉県としては、引き続き感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図れるよう取り組みを進めていきます。
自粛も長期に及び、自粛疲れや感染防止対策疲れをされていると思いますが、新型コロナウイルスの早期の克服こそが、現在の暗い世の中を変えていきます。
皆様の命を守り、そして一刻も早く社会経済活動を回復していくためには、皆様の御協力が改めて必要です。
県民の皆様、事業者の皆様には、今までの成果を無駄にしないためにも、気を緩めることなく、改めて感染防止対策を徹底してください。
県民の皆様の御負担、事業者の皆様の御苦労が重なる中、引き続きのお願いで大変心苦しいところですが、今一度、人の命を救うための取り組みに御協力を強くお願いします。