【誰一人取り残されないための教育総合データベース構築事業】

【誰一人取り残されないための教育総合データベース構築事業】
子どもの貧困問題の顕在化、虐待事案の増加といった社会課題が厳しさを増しております。
しかし残念なことに困難を抱える子どもや家庭ほどSOSを発することは難しく、悲しい事件や事例が後を立ちません。
近年ではそのSOSを見逃さないようにするためのプッシュ型・アウトリーチ型支援の必要性が指摘されております。
そのような課題へのアプローチとして、戸田市では私の公約でもある「子ども応援プロジェクト」を推進しており様々なチャレンジを推進しております。
昨年度からは、「教育総合データベース構築事業」というデジタル庁の実証事業に採択された全国初の取組みを行っており、子どもに関する各種データを教育委員会を軸として市全体として分析し、潜在的に支援が必要な子を早期に発見し、プッシュ型支援につなげることで「誰一人取り残されない、子ども達一人一人に応じた支援の実現」を目指しています。
具体的には、個人情報の保護や倫理面での配慮を前提として、教育分野を軸にした「教育総合データベース」を整備し、分野を越えて連携させて情報を分析し、潜在的に支援が必要なこどもを早期に発見し、プッシュ型支援につなげるというものです。
これにより①こども達のSOSの早期発見と支援につなげ、②行政課題特定の精緻化や施策の効果検証等を推進し、③匠の技の可視化や学校カルテによる学校現場へのフィードバック等を創出し、④教育委員会と福祉部局との連携を促進すること、といった効果を期待しており、最終的には全国への横展開も視野に入れています。
この実証事業は今年度からこども家庭庁の「こどもデータ連携事業」に引き継がれて子どもを守るための情報・データ連携の全国展開に向けた取組として継続されております。
関係者の努力により今年度も戸田市は採択され、おかげさまで実証実験を2年連続で進めることとなりました。(予算額4800万円)
こども家庭庁「こどもデータ連携実証事業採択団体」
この資料の中で、私が読んでいただきたいところがあります。それは「11.おわりに」のところです。
子どもに対する戸田市と戸田市教育委員会の思いが詰まっていますので、ぜひご覧いただきたいと思い、ご紹介させて頂きました。
「11.おわりに」
本市においては、本実証事業として、教育委員会を中心としたこどもデータ連携に取り組んでいくが、その意義としては以下のように考えている。
虐待や不登校、いじめなど様々な課題が深刻化する時代だからこそ、義務教育の重要性は高まっていると考えている。何より急ぐのは追い詰められている子とともに、追い詰められそうな子たちを救うことである。将来に希望を持つこと自体を諦めねばならないような状況をなくさなければならない。そのために、ほぼ全ての子供に効果を行き渡らせることができるのは義務教育の学校である。
格差・不平等が膨らむ時代には、学校は福祉的機能を担いうる場として重要性を帯びざるをえない。専門機関との連携は大前提としても、教師がそうした専門スタッフに丸投げにならず、当事者意識をもってこども達の小さな SOS を見逃さずに支援につなぐことは益々重要になっている。「こどもまんなか社会」という視点の転換を掲げるこども家庭庁が創設されたこのタイミングでこそ、義務教育の学校を所管する教育委員会が中心となり、データでこども達が「誰一人取り残されない」社会を実現することの意義があるのではないか。
また、教育委員会と市長部局の連携としては、すでに教育大綱や総合教育会議が存在しているが、これらは、計画や年数回の会議という、言うなれば不連続な連携である。
今後は、日々の業務の中で、より迅速かつ柔軟に、関係部局が連携できる連続した切れ目のない連携体制づくりが求められている。そうしたフェーズの中で、各自治体が教育委員会と首長部局との連携について再構成していく必要がある。
すなわち、各自治体における各部局の不連続な連携から、連続した切れ目ない連携への深化が、ポスト「こども基本法」の鍵の一つではないか。それを実現するには、眼となる学校の役割は重要であり、こども達が学びに集中できるような環境調整や育ちの支援
などに関係部局がコミットする、という双方向の関係性を持続可能につくることが必要ではないか。
本実証事業を通じて、こうした市長部局との連続した切れ目ない連携を図ることで、誰一人取り残されない、こども達一人一人のニーズに応じた支援を実現し、こども基本法、そしてこども家庭庁の目指す「こどもまんなか社会」を、基礎自治体の立場として体現していきたい。
以上です。
これからも、教育日本一目指して、教育委員会とともに「ファーストペンギン」を目指したチャレンジを推進してまいります。