H257.「教育立県・埼玉」の確立に向けた取組について(教育長) (1) 県立高等学校入学者選抜における欠員補充の日程について

Q 菅原文仁議員(刷新の会)

 埼玉県の高校入試制度は変わり、受験回数が2回から1回となって2年目を迎えます。それに伴って、入試試験が変更になり、2月中旬に行っていた入試が3月上旬となりました。今年は3月4日に学力検査が行われます。今、まさに受験生たちは最後の追い込みで必死に頑張っていると思います。
昨年も同様の日程で学力検査が行われました。そして、残念ながら不合格となり、卒業式の後の19日以降に行われる各高校の欠員補充試験を受けた中学生は、全日制で494名、定時制で320名、合計814名でありました。この814名の生徒は、3月15日前後に行われた卒業式のときに、次の進路が決まっていませんでした。ほかの生徒たちが卒業式を楽しく迎えている横で、814名の生徒たちは、数日後の試験を前に、本当はすがすがしいはずの卒業式を、胸をかきむしる思いで迎えていたはずです。つまり、現在の日程でいきますと、卒業時に次の進路が決まっていない生徒が毎年毎年1千名近く出てしまう状況であるということではないでしょうか。
中学校の卒業式は、小中9年間を過ごした地元の友人との別れでもあり、人生の中でも特に思い出深い貴重な出来事であります。しかし、今年も欠員補充試験を受ける生徒は前年と同じように必ず出ると思います。こういった状況は改善したほうがいいのではないでしょうか。
そこで、教育長にお伺いします。卒業式に進路が決まっていない生徒が800名という状況について、どのようにお考えでしょうか。また、試験日程や欠員補充試験日程を少しずつ移動させるなどの工夫で状況を改善できると考えますが、今後検討できますでしょうか。

A 前島富雄 教育長

 まず、卒業式に進路が決まっていない生徒が800名いるという状況についてどう思うかについてでございます。
卒業式には、卒業後の進路が決まり、すべての生徒が3年間の学校生活に対する思い出と将来への希望を胸に卒業式に臨めることが望ましいと思います。
しかしながら、卒業後の進路につきましては、高校や各種学校への進学、就職など、いずれの場合も選考が行われますので、残念ながら進路が決まらないまま卒業式にのぞむ生徒もおります。
中学校には、このような生徒に対しまして親身になって励まし、しっかりとした進路指導を行い、すべての生徒にとって思い出に残る卒業式を実施してもらいたいと考えております。
次に、試験日程を今後検討することはできないかについてでございます。
現在の本県の高校入試は、中学生に3年生の最後までしっかり勉強をさせ、確実に学力をつけさせるという趣旨から、入試日程を遅らせ、3月上旬の1回の募集としたものです。
入試制度の変更については、平成18年度から有識者や保護者などを委員とする会議で、時間をかけて検討を重ね、平成24年度の入試から現行の制度で実施しているものでございます。
中学校長へのアンケートでは、「入試の開始時期を遅くしたことで、中学3年生の3学期の学習に最後までしっかり取り組むことができる」という、肯定的な回答が大部分を占めております。
また、欠員補充の日程につきましては、実施校を中学生に周知し、出願期間などを考慮すると、試験日までには、3月中旬の合格発表後1週間程度は必要となります。
高校入試は、中学校3年間の学習の総まとめであるとともに、中学校教育へ大きな影響を与えるものであると考えます。

 今年2年目となった新しい入試制度について、その定着を図るとともに、必要な検証を進めてまいります。