2.2020 年東京オリンピック・パラリンピックに向けた取組について

Q 菅原文仁議員(刷新の会)

埼玉県では、昨年の招致成功以降、早速今年度から国際スポーツ課を組織するなど、スピード感ある対応で支援体制を構築しております。一方、周知のように、舛添都知事は開催基本計画の再検討を表明され、夢の島ユースプラザ、海の森水上競技場、葛西臨海公園の3施設における整備計画の見直しを決めたそうです。その中でも、バスケットボールの競技会場にさいたまスーパーアリーナの名が挙がっているようです。もし決定すれば、さいたま新都心に世界のバスケファンが集うことになります。県も全力で応援していただき、スーパーアリーナをバスケの聖地として後世に残るような場所にしていただきたいと願っております。また、カヌースプリントやボート競技が行われる予定の海の森水上競技場は、69億円と見込んだ整備費が1,000億円まで膨 らむ可能性が出てきたため、整備工法を再検討するか、都内の別会場への移転を検討するとしております。さらに都知事は、近隣県を含めた既存の施設の活用を検討するとも言及しております。
そこで、知事に質問です。
一点目として、私からの提案です。これは私の地元戸田市でありますけれども、東京都、荒川、戸田漕艇場、そして彩湖とありますけれども、この荒川第一調節池彩湖を海の森水上競技場の代替地として検討するよう、都に提案していただけないでしょうか。
彩湖の誘致は、東京の近接地であることのほかに、3つの面で優れていると私は考えております。一つ目は、憂慮されているコストです。彩湖は、埼玉と東京の水の補給源のダム湖であり、周囲8.5キロ、深さも十分余裕があります。河川敷のため、多少拡幅しても整備が安価で済むはずです。二つ目は、招致委員会も訴えていたアスリートファーストです。漕艇選手にとって、波風の影響を受ける海上よりも、潮流のない静水のほうが、何よりフェアなコンディションとなります。実際に、私も関係者からそういった声を聞いております。三つ目は、IOCが重要視するレガシーです。戸田漕艇場は、1964年東京大会の会場です。聖火台は国立競技場の3分の2のサイズ、同じものです。川口の名工、故鈴木萬之助・文吾親子が命がけで作り上げた歴史的な遺産です。地元の戸田市も、もし彩湖で可能性があれば積極的に招致すると表明をしております。是非、知事からの夢のある御答弁をお 聞かせください。
二点目として、キャンプ地の誘致についてお伺いします。
県は、今月20日に、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会埼玉県運営支援検討会議を初開催され、県の基本計画を策定することになったそうです。そこで、県内市町村から特に関心が寄せられている事柄として、キャンプ地の誘致があるのではないかと思います。既に全国各地ではキャンプ地誘致レースは始まっており、例えば栃木県では、昨年10月に東京オリンピック等キャンプ地誘致等庁内推進本部を設置し、気象条件、空港からのアクセス、整備する総合スポーツゾーンや宿泊情報、食のPRなどを掲載したパンフレットを作り、動き始めています。キャンプ地の誘致は、県民と選手の交流のみならず、県内スポーツ施設の充実にもつながります。県として誘致にどのような意気込みで臨まれるのでしょうか、御所見をお伺いします。

 

A 上田清司 知事

まず、彩湖(さいこ)をボート競技の会場として検討するよう都に提案したらどうかについてでございます。議員からの御質問にありましたように戸田公園漕艇場(そうていじょう)には1964年の東京オリンピック大会でのボート競技や数々の国内外の大会を開催してきた実績と歴史がございます。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会においてボート競技が彩湖で開催されることとなれば、地元戸田市民はもちろん県民の皆様にも大いに歓迎されるものと思います。 一方、2020年東京大会はコンパクトな会場配置や既存の競技施設の有効活用といった大会開催計画が高く評価されて決定した経過があります。
報道によると東京都は3つの競技会場の見直しを検討しているとのことですが、現段階では実は大会組織委員会からも東京都からも全く連絡が入っておりません。正式な話としてはまだ全く入っていない状況でございます。
また、国が管理している彩湖は荒川の調節池として台風や大雨の際に荒川からあふれた水をためて洪水を防ぎ住民の生命と財産を守るという重要な目的があります。
こういうことでございますので、まずは現段階では県として大会組織委員会や東京都の見直しの状況についてまだ正式なものではありませんが、周辺情報を一生懸命探っているところでございますので、こうした情報が明らかになった時点で問題提起をしていきたいと考えております。
次に、キャンプ地誘致にどう取り組むのかについてでございます。大会組織委員会に確認したところ、2020年東京大会の各競技におけるキャンプ地の要件などは現段階では決まっていないとのことでございました。
県では、要件が決まり次第、立候補できるよう各市町村にキャンプ地誘致の意向や競技施設などについて確認をしているところでございます。
日韓共催の2002年サッカーワールドカップの例を見ても分かりますように、キャンプ地を誘致することは、競技の普及だけではなく、国際交流や地域の活性化にもつながっております。大分県の旧中津江村(きゅうなかつえむら)は、カメルーンチームのキャンプ地として、村民との交流などがしばしばマスコミでも取り上げられ、一気に有名になったことは御存じのとおりでございます。
キャンプ地は、アスリートが大会本番に向けてコンディションを整える大事な場ですが、埼玉県は東京都に隣接し、気候面でも大会会場と極めて近い条件でありますので、直前まで準備ができるという利点がございます。
今後、市町村に確認した結果を取りまとめて競技団体など関係機関への働き掛けを行ってまいります。
さらに、私自身も姉妹州などの海外訪問や外国の大使などをお招きする際に埼玉県の優位性をアピールして、キャンプ地誘致を 進めてまいります。