【令和6年仕事始め式】

【令和6年仕事始め式】
本日から令和6年の公務がスタートしました。竹内議長にご臨席いただき戸田市役所5階の大会議室にて「仕事始め式」を実施いたしました。
今年の仕事始め式で私からお伝えした内容を以下、長文ですがご紹介いたします。
新年明けましておめでとうございます。令和6年の仕事始めにあたり、市民の皆様、職員の皆さんに謹んで新年のお慶びを申し上げます。
また本日は公私ともお忙しい中、竹内正明議長にご臨席を賜りご激励いただきました。市職員を代表して厚く御礼申し上げます。
初めに、1月1日に石川県で発生した令和6年能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご家族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げます。また被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
被災地では現在も断続的に強い地震が発生しており、予断を許さない状況が続いておりますが、そのような中でも危険と隣り合わせで支援を行なっている方々に敬意と感謝を申し上げます。
今回の地震は元旦の午後、一年のうち最も平穏で、危機管理体制としても最も手薄となる時間帯に発生しました。あらためて災害は、時期を選ばず、人を待たずにやってくる事を改めて思い知らされました。
帰省中や久しぶりの正月休みの家族団らんを一瞬にして奪い去る自然災害の残酷さに言葉を失いました。
日本中が不安に駆られていた翌日2日の夕方には、羽田空港で日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突するという大事故が発生しました。
旅客機では奇跡的に乗員乗客が全員助かったものの、被災地への支援物資を輸送する任務に当たっていた海上保安庁の隊員が殉職されました。
正月返上で被災地に向かう隊員の方々とご家族のことを考えると、なんともいたたまれない思いです。亡くなられた隊員に方々のご冥福をお祈り申し上げます。
災害時、公助を担う行政機関には、想像を絶する負荷がかかることがあります。助けを求める市民を救助する任務は一分一秒を争います。しかし、負荷がかかり過ぎれば二次災害につながる可能性もあります。
二次災害を防ぐシステムづくりは、今後の危機管理行政の重要な課題になると感じております。
一方、震度3を記録した戸田市においても地震の影響がありました。笹目地域では、工業用水の漏水があり、水安全部の皆さんが正月から対応いただきました。また消防の皆さんは通常業務に加えて、被災地から支援要請に備えて待機していただきました。誠にありがとうございました。
いずれにしても、本日生存率が著しく低下すると言われる発災後72時間を迎えます。救出を待っている方々の安全確保を祈りたいと思います。
さて昨年は、新型コロナの5類移行を契機として、長かった3年半のコロナ禍が一つの区切りを迎えました。
暗く長かったコロナのトンネルは抜けましたが、円安と物価高騰、実質賃金が19か月連続マイナスという状況が続いており「トンネルを抜けても暴風雨」というような厳しい状況が続いているのではないかと思います。
戸田市では、皆さんの奮闘と市議会のご支援もあり、物価高騰対策として4度にわたる緊急支援を実施しました。
今年度も国の低所得者支援を県内一のスピードでの支給し、合計9か月間の保育園、幼稚園、小学校及び中学校の給食費無償化の実施、2度に及ぶプレミアム付きの電子商品券「トダペイ」の発行、敬老祝い品の増額、そして年度末からの戸田保育士応援手当の支給など、全ての世代への支援が実施できました。
今年も皆さんとワンチームで様々な課題を乗り越えてまいりたいと考えておりますが、そのためにお願いしたい「2つの心がけ」についてお話します。
1つ目は、「ユーモアを大切に」です。
こんな大変な時に何を、と思われる方もいると思いますが、これは昨年皆さんにお話しした「対話力」にも通じるものです。
ユーモアや笑いは、世界共通のコミュニケーションであり、一緒に笑うことによって、より良い人間関係を築くことができます。アリストテレスは「笑いは人間のみに与えられた特権」と言ったそうです。
笑いのある職場は働きたくなる職場です。笑い合うことは仲間との結束が強まりますし、心理的安全性が高まります。笑いの効用の大きさには様々な研究成果が出ています。一日20分笑うとガンの予防効果がある、仕事の満足度や貢献意欲・創造性など、心理的に良い影響をもたらす、などです。
皆さんにお笑い芸人になってもらいたいというのではありません。ユーモアには、リテラシーが不可欠だと言われます。冷笑や嘲笑といった、相手を不快にさせるものや、下品な笑いは厳に慎みましょう。
内輪の笑いというのはとても楽しいものですが、一歩間違えると疎外感を与えることにつながりますのでこちらも気をつけましょう。
私は、ユーモアとそこから生み出された笑顔は、人に対する「思いやりの産物」であると考えております。まだ同時に、やり取りの中で面白いことを気付き、発見する創造的な作業でもあります。それは面白いねという感覚は、生成AIがまだ及ばない分野であると思います。
多少面白くなくてもかまいませんので、「笑う門には福来る、笑う職場にはイノベーション」で、ぜひ今年はユーモアを忘れないようにしていただくようお願いします。
2つ目は「常識を磨こう」です。
今年は7月には20年ぶりに新紙幣が発行されます。1万円札は近代日本資本主義の父、渋沢栄一であり、埼玉県出身の偉人が今年7月、新紙幣になります。
第一国立銀行(みずほ銀行)、東京ガス、キリンビールなど500近くの企業の設立に関わり、大学や病院、社会福祉法人といった約600といわれる非営利団体や活動の設立や経営に関与したと言われています。
渋沢栄一の玄孫の渋澤健氏は、「論語と算盤」の意義は「AかB(or)」という二者択一ではなく「AとB(and)」であることに意義があると述べています。一見して相容れないものを、どちらか一方ではなく、どちらも重視し試行錯誤を重ねて両立する。150年近く前に、渋沢栄一はこの思想を実践していました。これは現在のSDGsやウェルビーイングにもつながる考え方だと思います。
渋沢栄一は、著書で「社会が発達して、何事も一定の秩序を以て進む世の中には、殊に常識の発達した人が必要になって来た。(中略)智、情、意の三者が各々権衡(均衡)を保ち、平等に発達したものが完全の常識である」とも言っています。
いつの時代も、職場で活躍する人材とは、変わらないのかもしれません。「知性」、「感性」、「意志」の3つのバランスをよく保ちながら、弛みなく己を磨き続け自己研鑽をして、一流の常識人を目指していただくことを期待しております。
最後に、昨年実施した職員アンケートでは、皆さんから率直な意見を伺うことができました。皆さんの意見を参考として、今年は空調設備やカーテン設置による暑さ寒さ対策や、議会の皆様にもご理解いただき休憩スペースの拡大とリニューアルにも取り組みます。
多様な働き方の実現に向けた改革も長期的な視点でしっかり取り組みます。
また、働きやすい職場づくりは、皆さん自身でつくるものでもあります。ぜひ皆さんからも主体的に働きやすい職場づくりにご協力いただきますよう、お願いします。
今年も、市民の皆さんが「このまちで良かった」という実感できる市政を目指して、一致結束して頑張りましょう。
最後に、渋沢栄一の有名な「夢七訓」をご紹介します。
夢なき者は理想なし
理想なき者は信念なし
信念なき者は計画なし
計画なき者は実行なし
実行なき者は成果なし
成果なき者は幸福なし
ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず
今年も市民の幸福のため、夢を持って前を向いて頑張ってまいりましょう。
結びに、戸田市の発展と皆さんのご健勝ご活躍を心から祈念し令和6年仕事始め式の挨拶とします。
令和6年1月4日
戸田市長 菅原文仁